会社が中から腐るとき

画像: www.tOrange.biz Valdemar Fishmen

2014.07.31

経営・マネジメント

会社が中から腐るとき

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

絶好の市場環境下で赤字を続けても根本的な改革に着手しないこと、それでも経営陣が叱責されないこと。こんな緊張感のない会社経営ではまともな人材は育たず、いずれ崩壊すること必至。

小生が驚き、かつ呆れたのは、一つにはこうした問題プロジェクトをその後も繰り返しているということだ。普通は最初の2~3件で大いに反省し、営業とエンジニア達の振る舞いを全く変えるよう、会社として躍起になるはずだ。

この会社では個々のプロジェクト採算が大赤字になることで大騒ぎにはなったそうだが、相変わらずその癖の悪い大手企業数社から受注を続け、傷口を広げているそうだ。仕事の進め方も根本的に変わったわけではなく、単にPMから経営陣への報告頻度が上がっただけだそうだ。

もう一つの驚きは、そうした経営状況にも拘わらず、経営陣の更迭や担当見直しはされていないとのことだ。明らかに経営陣の判断ミスと対処に関する怠慢が赤字につながっているのだから、上場企業である親会社から責任を問う声が上がるのが普通だと思うのだが、少なくとも表面上は何もないそうだ。

よくよく聞いてみると、この会社の経営幹部はほぼ全員、親会社トップの子飼いだそうだ。親会社からは出向ではなく転籍という形で、子会社でいいポジションを与えられた模様だ。そのため経営陣同士はとても仲がよく、業績を競うことも足を引っ張り合うこともないそうだ。

しかも業績のよい親会社からすると、この子会社の赤字はどうやら少なくとも現時点では大して問題視されていないようなのだ。

何とも不思議な事態だが、こうした緊張感のない経営を続けている限り、まともな人材が育つはずもない。この会社が自律的に赤字を脱することは難しいだろう。

会社は既に中から腐り始めており、遠からず外目にも崩壊が見えるようになると想像できる。そうなってから親会社が立て直しをしようと思っても、まともな人材は既に逃げ出しているのではないかと、他人事ながら心配になってしまう。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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