検証を欠いた“いきなり実施”は無謀・軽率と呼ばれる

画像: Luis Rivera Gurrea-Nozaleda

2015.07.13

経営・マネジメント

検証を欠いた“いきなり実施”は無謀・軽率と呼ばれる

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「なぜ、ろくに検証せずにいきなり始めてしまったのか」。支援することになったクライアント企業の事業や過去のプロジェクトに関し、素朴な疑問を抱くことが少なくない。「検証を軽視する傾向」は世の中に意外と蔓延しているようだ。完璧に近い情報を求めて判断を先送りするのも愚かだが、まともな検証なしに実施するのは無謀・軽率のそしりを逃れない。

あるサービス企業は、日本で大成功した飲食業向けサービスをアジアに展開しようと考え、その第一弾としてアジアのもう一つの先進国・シンガポールで開始すべく、強力な提携先を見つけた。現地の飲食業に売り込む力が非常に強い営業系の会社である。

しかしその新サービスは結局、シンガポールの消費者ならびに飲食店からは全く支持されず、見事にコケた。前提となる消費者の予約・支払いに関する習慣が全く違ったためである。事前に現地でちょっと調べればすぐに気づくはずのことだった…。

あるファンド会社は、大手素材企業から子会社を買収した。親会社から素材の供給を受けて部材に加工する事業である。財務上、材料コストが利益を圧迫していることは明らかだったが、買収後の元・親会社との交渉で直材費を値下げさせることで、一挙に利益改善ができると踏んだのだ。

しかし実際には親会社からの供給価格は割高ではなかったことが、買収後に他社からも見積を取った際に判明した…。

あるコングロマリット企業は、海外事業でのサプライチェーンを大きく見直すために倉庫を切り替える計画を立て、そのために関連する情報システムも開発してきた。全社レベルの重要なプロジェクトである。

しかし情報システムをほぼ作り終えたある週、移転先の倉庫内部を精査して収容能力を改めて計算してみると、当初構想に全く届かないほど小さいことが判明した。お陰で計画全体を見直すことになってしまった…。

冗談だと思われるかも知れないが、全部実話である(差し支えないよう、内容はぼかしてある)。しかもこれらは小生が知る「氷山の一角」に過ぎない。

どうしてこんな「思惑外れ」が起きるのだろう。端的に言って、戦略や構想を描いただけで、きちんとした検証をしなかったからである。ひと手間を惜しんだか、そもそも検証が必要だということ自体を思いつかなかったのである。

不思議なことに、日本の事業会社の多くが「戦略策定」や「構想策定」は熱心にやるのに、その過程で仮説の検証をしないでいきなり実施に入ることが少なくないようだ。

そもそも「検証」とはどんなことをするのか、イメージが沸かない人が多数派だというのが小生の実感である。

コンサルティングの場面で「きちんと検証しましょう」と言うと、まるで戦略や実行計画の出来具合に自信がないと誤解されかねない。クライアントの経営トップが「すぐに実行したい」と気がはやった際に、歯止めを掛ける人が周囲にいないことも多いのではないか。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

弊社は新規事業の開発・推進・見直しを中心とした戦略コンサルティング・サービスを提供しております。弊社のコンサルティングの特長は次の4つです。 1.独自の「イシュー分析」手法に基づき、「どういうロジックで、何を検討するのか」というワークプラン、および「誰がいつまでに何をするのか」というWBSチャートを初期段階から明示 ⇒ 迷わない。素早く、前もって動ける。 2.社内プロジェクトチームに少数のコンサルタントが入る混成チームで進める ⇒ メンバーへ刺激。 3.ハンズオン指導と作業分担の組み合わせで進める ⇒ スピード感とメンバー成長の両立。 4.(知識・経験依存でなく)「仮説思考」「ファクトベース」を重視 ⇒ 科学的アプローチによる納得性。 詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。

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