限界に来た家電量販店のビジネスモデル

画像: street viewer

2013.06.19

経営・マネジメント

限界に来た家電量販店のビジネスモデル

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

大手家電メーカーの製品開発力と高率リベートに依存して伸びてきた家電量販店は、そのビジネスモデルの限界が見えつつあり、その革新のための試行錯誤もまた注目される。

最近の家電量販店に関するニュースは冴えないものが多い。

大手4社(ヤマダ電機、ビックカメラ、エディオン、ケーズHD)の直近の連結業績は軒並み大幅減益で、業界3位のエディオンは初の営業赤字、2位のビックカメラはコジマ買収前の経常利益水準にすら届かなかった。1位のヤマダ電機は全取締役降格という異例の人事が話題になった。

家電量販店は、パソコンや薄型テレビといった具合に、電機メーカーが次々に生み出す新製品で伸びてきた。ところが地デジ放送への切替時に先食いした「薄型テレビ需要」を継ぐ大型商品が途切れてしまっており、それが今の不振の主因だという説が有力らしい。

確かに、スマホやタブレット端末といった情報家電の新製品はその後も続々と登場したが、前者はケータイショップで買うのが主流だし、後者はノートPC需要を食いこそすれ、家電量販店で爆発的需要を生んでいるとは聞かない。次世代薄型テレビといわれた3Dテレビは観るべきコンテンツが供給されないまま、最近は話題にもならない(我が家でも3Dメガネは仕舞われたままだ…)。

そもそも日系大手家電メーカーが赤字に苦しみリストラ中なのだから、昔のようにどんどん新商品が開発される状況でもない(アイリスオーヤマは別だが)。

家電量販店の大量仕入・大量販売という収益モデルの前提であるメーカーの販売リベート総額が縮小しつつある中、バイイング・パワーを少しでも維持したいがために業界再編劇を繰り返すという構造に陥っている。

何より問題なのは、品定めのために来店するが、実際の購入はネット通販で行う消費者の割合が急増していることだ。俗に云う「ショウルーム化」現象である。

商品説明だけさせられる販売員はたまったものではないが、客が本当に買う気があるのかを見分ける手段は店側にはない。大型商品の不在より、こちらのほうが深刻な問題だろう。

あれやこれや考えると、家電量販店のビジネスモデル自体が限界に近づきつつあると言ってよかろう。

それを象徴する動きが、旧三越新宿店跡の店舗をユニクロとコラボして「ビックロ」にした、ビックカメラの試みだったかも知れない。太陽光発電設備の販売やネットサービス契約窓口など新しい商材を扱うことにも各社は取り組んでいるが、従来の「商品仕入販売」または口利きビジネスの域を出ていない。今はいずれの社も試行錯誤の最中なのだろう。

一昨年から昨年にかけて、もう一つ重要な動きがあった。それがヤマダ電機による、中堅住宅メーカーのエス・バイ・エルと住設機器メーカーのハウステックHD(旧日立化成工業の住宅設備機器部門)という2つの住宅関連メーカーの買収である。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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