「ドコモのiPhoneが売れてない」記事の読み方

2013.10.03

仕事術

「ドコモのiPhoneが売れてない」記事の読み方

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

​サプライズ発売となったドコモのiPhone5S&Cでしたが、「たいして売れてない」「期待外れ(の売上)」という記事が目立ちます。コミュニケーションの講座で、いつも私が重視しているのは情報の発し方より「受け方」。ドコモ売れてない情報はどう理解すべきでしょうか。

大学院後期科目講義が始まりました。ありがたいことに初回から予想以上に学生が集まってくれました。そこで学生に次のような問いかけ、「ドコモのiPhone5Sが売れてないという記事を多く見かけるが、どう思う?」をしたところ、いろいろ意見が出てきました。

・ドコモのブランド力劣化
・MNPですら手続きめんどう
・ソフトバンクのCM等プロモーション・・・

さすがによく考えてますね。ネットで流れるiPhone関係の記事もだいたいこんな論旨が多いということは、学生諸君自身の判断かどうかは別にしても、ネット記事並の意見提示を出来ることに頼もしさを感じます。

しかしこんな意見も出てきました。
「売れてないといっても品不足で在庫がないのではないか」

ドコモのiPhoneの売れ行きを正確に表すデータを見たことがないので、売れてるのか売れてないのか判断することは出来ません。ネット記事のほとんどはマーケティング情報として流れている量販店売上やら、日本ではなく海外の売れ行きやら、そもそも9/20発売だっつーのに、売上集計期間が9月16日~22日だったりとか、どうも本当に信じて良いの?というソースだったりします。

コミュニケーションは発するだけでなく、受け止めることと両輪で成り立ちます。何やらマーケティングデータのようなものがあると、いかにも説得力を持つプレゼンが出来るように見えるかもしれませんが、実はデータそのものの読み込みが出来なければ、どんな上手いプレゼンも価値がありません。

もちろん発売時に十分な在庫を確保できないということ自体がメーカーとしてのアップルの責任ではあるでしょう。しかし極秘に進めてきて、発表。それで一斉に入る注文にこたえられる在庫整備など現実には不可能です。

つまりは「ドコモiPhoneが売れてない」「売れてる」は今の時点ではわからない、というのが一番正確なのではないでしょうか。

私がヒラのマーケティング担当だったころ、扱っていたい製品に同梱したアンケートはがきで、「F2層(女性35~49歳)の支持が強い」という結果が出ました。上司のマネージャーはただちにF2向け媒体プランを作るよう命じてきましたが、私の意見は違いました。

単に景品好きのオバチャンが多かっただけじゃないの?というものです。
つまり単価1000円未満の日用雑貨品を買って、アンケートに答えたら景品をあげますよということで集まったデータをそもそも信じて良いのかという疑問を持った訳です。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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