カルトライクな企業文化って?...

2013.03.01

経営・マネジメント

カルトライクな企業文化って?...

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

売上を5年間で7倍にした驚異のヨガ・ウェア・メーカー、ルルレモン。「カルトライク」と称される企業文化の強烈な求心力が強さの秘密。

英語で、時おり、ある特定の企業文化について「カルトライク」と表現されているのを耳にすることがあります。私が長年研究しているザッポスもそう。サウスウェスト航空も、ホールフーズもそうです。自らの企業文化コア・バリューを前面に押し出し、強烈なブランドとファンを築いている優良企業はそう呼ばれることが多いような気がします。

しかし、「カルト」というのは一般的にネガティブな印象をもつ言葉なので、私自身はこれを企業文化について使うのをあまり好みません。恐らく、「カルトライク」という言葉を使っている人たちは、「ファナティカル」と同様の意味でこれを使っているのだろうと思います。

「ファナティカル」という言葉は私も好きで、実は新著の中でも頻繁に使っています。「ファナティカル」とは、「熱狂的な」とか「徹底した」という意味ですが、アメリカのビジネス界では、かなり以前から「ファナティカル・サービス」のように使われてきました。私は、未来企業は、「ファナティカル」でなくてはならないと思っています。自らの信じること、実現したい夢の上に旗を立て、共感する人たち(働く人、顧客など・・・)をその旗のもとに集めるのです。そして、「これ」と決めたら、熱狂的なまでのこだわりで徹底して自らの価値観を実践していきます。会社の中で働く人に対しても、お客さんに対しても、ぶれることもなければ、偽ることもない。だからこそ、ファンは熱烈な信頼と愛情で報いてくれるのです。

本の中には書きませんでしたが、最近、ルルレモンというカナダのヨガ・アパレル製造小売業者について簡単に学ぶ機会がありました。そのきっかけも、とある記事の中で「カルトライク」と称されていたからです。いろいろと賛否両論の多い会社ではありますが、今日は、ルルレモンの「カルトライク」ならぬ、「ファナティカル」ぶりについてお話したいと思います。

普通、ヨガ・ウェア・ビジネスというと、「ニッチで小ぶり」というイメージがありますが、ルルレモンは2012年の売上が10億ドルを超える上場企業です。北米とオーストラリアに175店舗をもち、6,000人近くを雇用します。2007年には1.5億ドルであった売上を5年間で7倍近くにするという、誰もがうらやむ快進撃。北米が「大不況」に陥っていたさなかにも、年率30%から60%の勢いで売上を伸ばしてきた計算になります。

このように、ルルレモンのビジネスは、「小ぶり」ではないが、「ニッチ」ではあります。ルルレモンの商品は誰でもが買える廉価品ではないからです。ルルレモン自身も、「ヨガのウォルマート」になろうと思ってはいません。つまり、マス(大衆)に売ろうとは思っていないのです。代わりに、ルルレモンを熱愛し、ルルレモンのファッションを通してルルレモンと一体化したいと思うお客さんたちに、できるだけ多くの商品を買ってもらおうと思っています。その思惑どおり、ルルレモンの顧客は一着98ドルもするヨガパンツを嬉々として買っていきます。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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