天下のウォルマートも苦戦する「アマゾン・ファクター」

2011.02.23

経営・マネジメント

天下のウォルマートも苦戦する「アマゾン・ファクター」

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

米国第二位のブックストア・チェーン、ボーダーズが会社更生法による保護を申請。「業界第二位」でも倒産に追い込まれる市場波乱の背景にはアマゾンの影あり。そして、天下のウォルマートも無傷ではない・・・。

世界最大のリテーラー、ウォルマートは、過去二年間連続で米国内既存店舗売上の減少を記録し、社史始まって以来の苦境に立たされています。その背景にあるのは、アマゾンというミュータント的競合の存在と、「プライス・リーダー」としての地位の失墜。

米国で第二位のブックストア・チェーン、ボーダーズが会社更生法による保護申請をしたことは、皆さんご存知でしょうか。

会社更生法というと聞こえはいいのですが、事実上の倒産です。米国のブックストア・チェーンといえば、ボーダーズだけではなく、業界トップのバーンズ・アンド・ノーブルも財政難で、二者とも買収を検討したりなどしていますが、どうしても買い手が見つからない。「書籍販売」という市場がアマゾンに席巻されてしまった今日では、店舗という物理的アセット・へビィな業態には、皆怖くて手が出せないというのが現実でしょう。

業界第二位でも倒産。恐ろしい世の中になったものだな・・・とつぶやいていたら、ふと、「どこかで聞いた話だ」とある種の既視感が襲いました。

思い返せば、電化製品チェーンのサーキット・シティが会社更生法の申請に続き、「解体」の憂き目を見たのは二年前の2009年初頭のこと。あの時も、私も含め米国流通の研究者たちは、「業界第二位でも倒産するご時世か・・・」とため息をついたのです。

当時、サーキット・シティは年商1兆円超の会社。それでも倒産を免れませんでした。「年商1兆円でも安泰ではない・・・」。解体のニュースに、米国の流通業界も大きく揺れました。

ところで、かつての「業界第二位」であるということの他に、この二社の共通項は何だか、皆さんおわかりになりますか。

種を明かせば、二社とも、「カテゴリー・キラー・キラー(カテゴリー・キラー殺し)」であるアマゾンの犠牲になった企業であるということです。

「世界最大のブックストア」を目指して1994年に設立されたアマゾンは、今日では、書籍、ミュージックCD、DVDなどの「メディア・プロダクト」のみならず、複数の商品カテゴリーを横断し市場シェアをむさぼる「オンラインの巨獣」となっています。

もともとの同業者であるボーダーズやバーンズ・アンド・ノーブルがその影響を真っ向から受けていることは言うまでもありませんが、サーキットシティやベストバイなどの電化製品チェーン、そして、過去に遡ればトイザラスやFAOシュワルツなどの玩具チェーンも、アマゾンとの激しい価格競争に苛まれてきました。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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