アップルとグーグルの一騎打ち

2012.02.11

経営・マネジメント

アップルとグーグルの一騎打ち

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

グーグルのホーム・エンターテイメント市場進出で、いよいよアップルとの一騎打ちなるか?アマゾンやフェイスブックも控え、戦々恐々とする米デジタル・エンターテイメント市場の行方やいかに?

グーグルがホーム・エンターテイメント機器を展開するらしい・・・との報道がされて、アメリカではちょっとした話題になっている。

クラウド型ストレージ・サービス、「ドライブ(Drive)」の間近な導入が報道されたのがつい先日。最近のグーグルはサービス/事業拡張に忙しい。いや、グーグルという会社はもとより、新しいアイデアを次々と試験運転しては、スティック(定着)しないものをどんどん切り捨てていくというベータ的メンタリティの会社ではあったのだが・・・。しかし近年では、それがオリジナルな「ネット広告ビジネス」のモデルからの離脱を示唆するものであるからか、特に目立ってみえる。

昨年の8月に発表されたグーグルによるモトローラの買収を、どうやら近日中に米司法省が正式に認可するらしいという報道があったのが昨日。発表当時に、「グーグルがついに(携帯/スマートフォンの)『ものづくり』に進出!」ということで大いに業界を湧かせた。そして今度は、グーグル・ブランドのホーム・エンターテイメント機器の開発/販売に乗り出すという。今までアンドロイドというOSの開発に徹し、スマートフォン、タブレット、あるいはTV機器メーカーにそれを「使わせる」という形をとってきたが、ここにきて、「ソフト⇒ハード」、いや、「ソフト+ハード」への大胆な飛躍に乗り出すというわけだ。

ご存知のように、グーグルやフェイスブックのようにいわば「システム開発」に徹するテック企業の強みはその利ざやの高さにある。「ものづくり」に手を出すと、当然のごとく利ざやは犠牲にされるので、グーグルのこの動きに対して警告を発しているアナリストも少なくはない。

「ソフト」と「ハード」をパッケージ化したサービスの展開でビジネス・モデルの大転換を試み、飛躍的な成功を収めた企業といえばあの「アップル」である。アップルはもともとはPCの開発・製造を手がける「ハード」の会社であったが、コンシューマー・エンターテイメント・デバイスであるiPod(ハード)を導入した際に、それに併せてデジタル・エンターテイメント・マネジメント・システムであるiTunes(ソフト)を世に紹介し、また流通の仕組みであるiTunesストアまでつくってしまったことで、生活者のデジタル・エンターテイメント・ライフを一手に引き受けるソリューション・プロバイダーとしての地位を固いものとした。

そして、「iPodというハード」を管理するには「iTunesというソフト」が必要という排他的構造を作り出すことで、供給から消費までのプロセスをコントロールしたことが、アップルのさらなる成功につながったことは言うまでもない。さらに、今日ではiTunesは、iPodだけではなくiPhoneやiPadなど他のデバイスのマネジメント・ソフトとしても確立されている。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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