「世の中を動かす1%」に潜むビジネス好機

2008.05.13

営業・マーケティング

「世の中を動かす1%」に潜むビジネス好機

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

ウェブがもたらす「自己主張の力」と、「つながる力」。その恩恵を受けて、かつては「取るに足らない」とされてきた「1%の人々」が有力なマーケットとして浮上してきた。この「1%」に挑戦する新しいビジネス/マーケティング・モデルが次々と誕生している・・・。

日本でも多少話題になっているようですが、Mark J. Penn氏が書いた『Microtrends』という本を読みました。日本では、『マイクロトレンド-世の中を動かす1%の人々』という題で邦訳されています。

マーク・J・ペンは、1996年に主任ストラテジストとしてビル・クリントンを再選に導き、つい最近までヒラリー・クリントンのキャンペーンにも参画していました。世論調査分析のプロで、90年代に、「soccer mom(サッカー・ママ)」という言葉を流行らせたことでも有名です。

「サッカー・ママ」といえば、中流よりやや上くらいの富裕層にあたる子持ちの女性で、大型SUVを乗り回し、子供たちをサッカーの練習に連れていくなど多忙なことから、この名前がつきました。90年代に、政治的にも隠れた勢力であるということで注目を浴びたのですが、これも、ペン氏がいうところの「マイクロトレンド」のはしりです。

この本の中で、ペン氏は、「男と女」、「仕事」、「人種と宗教」、「親と子」など15章に分け、彼が観察するところの75の「マイクロトレンド」を次々と解説していきます。(訳書では7章しかないようですが。)世論調査の専門家らしく、各トレンドについて裏づけの数値が引用されているのが興味深い点です。

「マイクロトレンド」は、言い換えればかつての「ニッチ」にあたり、「嗜好」や「傾向」としては恐らく昔から存在していたものです。しかし、これらの「ニッチ」的傾向をもつ人たちは、地理的にも分散していることが多く、ひとつの「勢力」として組織化し、認識されることは難しかったというわけです。

ところが、ウェブの発展により、これらの「ニッチ」的傾向をもつ人たちがお互いを見つけ、組織化することが容易になりました。そこで、「グループ」や「トレンド」として認識されるようになった。可視性の高まりに伴って、「勢力」として台頭してきた、ということだと思います。

ウェブのおかげで、人口の1%にしかあたらない「ニッチ集団」でも、経済的、政治的影響力を発揮できる世の中になった。これと似たコンセプトについて、私も拙著の中で、「マス・ニッチ・マーケット」という言葉で述べています。

ところで、これらの「マイクロトレンド」が消費市場に及ぼす影響に目を着け、面白いサービスを展開している新手の広告代理店があります。これは奇しくも、私の自宅からさほど遠くないところに住む二人の起業家が始めた会社なのですが、コカコーラやケロッグ、マクドナルドなどといった大手企業(広告主)と、個人ブログ、あるいは中小コンテンツ・サイトなどの有力ニッチ・メディアを結びつけるビジネスです。テレビやラジオ、雑誌などの広告スペースを広告主に代わって調達する「メディア・バイイング」は広告業界に古くからあるサービスですが、広告主とウェブ上のメディアを結びつけるこのサービスは、「メディア・バイイング2.0」とでも呼べるかもしれません。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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