【 21世紀の国富論 】②

2007.10.01

ライフ・ソーシャル

【 21世紀の国富論 】②

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

もう一度読み返したい本: 【 21世紀の国富論 】② (著)原丈二 氏

■ さまざまな可能性をもつインターネットの情報の入り口として、「PCからPUCへ」、「コンピューターからポスト・コンピューターへ」という変化が起こりつつある。そして、計算機能のためにつくられたコンピューターは、2015年頃までには主力情報端末としての座を失うであろう。

■ コンピューターに代わる新しい基幹産業の中心をなすであろうPUCは、日本がこれまで培ってきたさまざまな財産や条件を有利に利用することができる性格を有する。

■ このコミュニケーション機能の利用を重視したPUCの構想は、ブロードバンドのインフラがないと実用化できない。そういう点では、大規模な光ファイバー網が整う日本には、格段の強みがある。

■ またPUCは、従来のコンピューターと異なり、ハードウェアーとソフトウェアーを分けることができない。
そこで、製造業のさまざまなノウハウをもつ日本こそが、きわめて複雑なハードとソフトの融合を実現する力をもつ世界随一の国である。

■ PUC技術は「人間が機械に合わせる時代」から「機械が人間に合わせる時代」への質的変化をもたらし、最終的には人が住みやすい社会を実現するためのもので、実は日本人はその必要性を直観的につかんでいる。「機械の使い勝手をよくしたい」という発想は、「ロジック」のアメリカ人にはまず真似できないものなのである。

■ このような理由から、日本がポスト・コンピュータ時代の基幹産業においてイニシアティブをとる可能性が極めて高い。そのために日本は、率先して長期的な視点を取り戻す必要がある。前述した事業会社が中心となって新しい産業をつくりだす、「リスクキャピタル」といった仕組みがそれを促すだろう。

■ もちろん新しい産業は何もPUCだけはない。ただ私たちがしなければならないのは、大きな広がりをもつ新しい技術をつぎつぎと生みだし、育てていくことである。これから日本が再び活力を取り戻す上でも、たくさんの企業が新しい技術を生み出していけるような長期的なビジョンをもつ必要があり、また、そのためのさまざまな制度を変えいく必要があるだろう。

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経営手法にしても、ビジネスモデルにしても、アメリカの方が進んでいるから真似ようという発想は、よくある傾向だと思います。本書は、それに対し強く警鐘を鳴らしています。アメリカ流の短期的なROE至上主義のようなものに対して、私自身もアメリカ企業で働いていた時、苦労した経験が何度もあります。本書を読んで、なんとなく思っていた違和感が、構造的に理解することができました。

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