間違いだらけの北沢防衛相「軍服を海外に依存するなんて」発言

2009.12.08

経営・マネジメント

間違いだらけの北沢防衛相「軍服を海外に依存するなんて」発言

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

北沢防衛相は、「事業仕分け」で海外調達などによる自衛隊の制服購入費の縮減を求められたことについて、「軍服を海外に依存するなんて話は世界中で聞いたことがない。その国と危険な状態になったら、おんぼろ服で事に臨むのか」と批判しました。 この発言には、企業で調達をめぐる誤った議論と重なる部分が多くありますので、北沢防衛相の発言を他山の石とするために、その誤りについて、確認していきます。

■ 国内メーカでも海外生産、海外調達は進む

北沢防衛相の発言は、制服の流出防止、愛国心高揚、内需拡大といった観点からのものと思われますが、国内アパレルメーカも縫製工場は海外自社ないしは協力工場の活用が進んでいます。

源流にまで遡って、原材料、縫製工程をすべて国産とするを取引条件としても制服の流出は防げません。何らかのチェック体制が必要です。チェック体制を設けるのであれば、海外調達を行っても、制服の流出は防げます。制服の重要性を考えれば、国内企業だからチェック体制を緩める事ができるというのは、能天気な発想です。

■ 制服よりも大事なものを海外調達している

2005年から2008年で防衛装備品に占める海外調達品の割合は8~12%です。その品目は、航空機、艦載滞空戦闘システムのイージスシステム、潜水艦アンテナなどの通信電子器材、武器などが主要品目となります。

自衛隊の目的遂行を考えた場合に、どちらが重要かを考えると、上記の品目の方が重要ではないでしょうか。やるべき事ではなく、できるものだけをやるというのは都合のよい議論です。

■ 軍服を輸入している国は多い

北沢防衛相の発言と異なり、先進国でも軍服を輸入している例は少なくありません。ソ連崩壊後、軍事費削減の観点から軍服を輸入する欧州の軍隊は増えているようです。英国は、90年代後半から、被服の調達をベルギーなど外国にも広げています。あちらでも問題にはなっていますが、最近では、中国で製造している業者が落札しました。ドイツはゴアテックスのパーカなど製造に人件費のかかるものはトルコから輸入しています。トルコは工賃が安いこともあり、NATO諸国に軍服を輸出しています。米国は軍事援助の一環として被服も輸出してきましたが、これを調達コストを下げるために中国製に切り替えているとの事です。(出所:清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所 「軍服海外調達『聞いたことない』=防衛相」http://kiyotani.at.webry.info/200911/article_9.html)

■ 内向きでは限界の日本

信用バブル崩壊後、輸出の大幅な減少により、日本の国内総生産(GDP)の落ち込み率が先進国中最大であった事などを受け、輸出依存からの脱却や内需拡大の必要性を唱える論者が多くいます。また、今回の軍事安全保障、環境問題、食の安全保障の観点から、地産地消が大きく叫ばれるようになっています。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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