情緒的価値が機能を実体を包み込んでしまう時代

2009.03.02

営業・マーケティング

情緒的価値が機能を実体を包み込んでしまう時代

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

顧客は実体のある商品を買いに来ているのではない、価値を買いに来ているのだ!と言いますよね。ただ、もはや今は、機能的な価値を情緒的な価値が包み込んでいる時代ではないかな、と思うのです。

 価値をいくつに分けるか?という議論はありますけど、まあ、機能的価値と情緒的価値の2つでいいと思います。

 わざわざブランド価値を分けて切り出す意味合いもあんまないし。独自の第3の価値を主張する必要もないと思います。

 で、顧客は実体を買うわけではない。機能的価値と情緒的価値を買うんですね。

 で、最近では多分、情緒的な価値が機能的な部分を包み込んでしまうような構造になっているのではないかな、と。

 この情緒、世界観を実現するための機能があって。それをさらに物理世界に実現する実体がある。

 決して人はモノを買わなくなっている。

 そのモノと顧客が出会うことによってもたらされる出来事の世界観が、自分の世界観にマッチしているのか?で購買決定をしているのではないか?と思うんですね。

 まあ、言い古されているお話しですが、人がモノと出会って起こる出来事というのは、ストーリーですよね?

 出会ってもストーリーがないと、記憶されない。

 ニーチェ風に言うと、歴史にならない。単なる事実になり、歴史にならないんです。

 その商品/モノが、顧客の歴史になるのは、ストーリーの世界観が、顧客の世界観と一致する。顧客の人生ストーリーの一部になる時なんですね。

 ニーチェはもっと極論で言っています。歴史に事実は存在しない。あるのは解釈のみ。そして、その解釈は個人の力への意思で決まる、と。その力への意思をもたらす虚言、つまりストーリーが必要と言っていますね・・・。

 まあ、力への意思は価値観みたいなものだと思ってください。

 顧客の都合のいい価値観に出会って、顧客の人生ストーリー、人生の歴史の一部にあてはまりうる、という解釈がなされるようなモノであれば、顧客は買ってくれる。

 で、そこでクリティカルになるのって、情緒への訴えかけですよね。当然、その情緒へ訴えるための構成要素として、機能の価値もあるし、実体もあるし、その実体のフォルム、デザインもあるんですけどね。

 コンセプトワークがより、情緒の部分を重視する傾向が強まっているでしょうね。

 構造化すると、情緒的価値が機能的価値、実体をつつみこんでいるような図になるでしょうか?

 イメージ沸きます?

 そうすると、今の時代でクリティカルな競争ポイントはなんでしょう?

 こんな構造の変化には、企画系の人の多くが気が付いていると思います。

 で、テクニカルに不足している部分は何か?と言いますと、多分、顧客の情緒に訴える価値を作り出す表現手法としてのストーリー構築の能力ではないかな、と。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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