バリューデリバリーシステム(その2)

2008.06.21

仕事術

バリューデリバリーシステム(その2)

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

フィリップコトラー教授は、ビジネスシステム自体がマーケティングコンセプトの元では転換せねばならない!という主張をしました。R&D、企画、開発、生産、販売という従来のプロセスではなく、顧客に対する価値をいかに創造するのか?という視点で、価値を選択、創造、訴求していくというプロセスへと転換される必要性を説きました。

 さて、今日は前回に引き続き、バリューデリバリーシステムのフレームワークを見ていきましょう。

 企業全体のビジネスシステムは、価値の選択、価値の創造、価値の訴求の大きく3つに分けられる。

 前回は、価値の選択に関して、詳細な説明をしました。

 今日は、「価値の創造」、「価値の訴求」について細かく見ていきます。

 では、「価値の創造」から行きます。

 「価値の創造」は、提供する価値と価格の設計、商品設計、生産設計、流通設計、価格設計の5つのステップを踏みます。実際に概念レベルで考えていたものをリアルに作っていくには?という具体に落としていく作業です。
 
 まず、「提供する価値と価格の設計」からいきます。

 価値の選択で、ターゲット、コンセプト、差別化のポイントが固まったとします。そうしたら、その提供する価値がどの程度のプライシングができるのか?を概要レベルで考えます。

 例えば、しつこいですが、スターバックスの例で行きますと、「職場でも、家庭でもない、第三のリラックスできる場所でのコーヒー体験」に、人はいくらぐらい払うのか?

 考えているコンセプトに対して、人が感じられる価値と、払ってもいい金額はいくらなのか?

 価格はコストで決めるというよりも、取れるだけ取る、というのがマーケティング的には正しいですよね。1万円で売れるものを、5000円にしてはいけない。収益が最大化される価格があるはずです。そこを探っていきます。

 まあ、これぐらいのプライシングは可能かな、というあたりでこの段階はいいですけどね。

 でも、なぜ、一番初めと最後に、重複して価格が出てくるんでしょうか?それは、コンセプトベースで得られる収益の概算をしないと、いくらぐらいのコストを使って、商品を生産し、流通させていけばいいのかが見えないからですね・・・。

 これぐらい儲かる商品だから、これぐらいの設備投資ができる、というのが初めに見えていないといけないですよね?

 その上で、詳細を詰めていった上で、最後に価格をしっかりと設計するわけです。

 つまり、ここのプロセスは、コンセプトベースでどれぐらいの市場性があるか?を考えて、商品の詳細を詰めて、いくらぐらいの設備投資をして商品を生産して、どのチャネルに流通させて、改めて価格をつめに行くというプロセスを踏んでいるんですね。

 うまく説明できてますか?

 その上で、どのように実際に「価値の訴求」をしていくのか?というお話しに移ります。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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