「徹子の部屋」のガチ伝説から伝わるテレビの良心。

2008.12.22

ライフ・ソーシャル

「徹子の部屋」のガチ伝説から伝わるテレビの良心。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

いま気になるテレビ番組がある。ご存じ『徹子の部屋』だ。 黒柳徹子が司会を務めるテレビ朝日系列で放送されているトーク番組である。 1976年2月2日スタートというから、来年で33年目を迎える長寿番組。 あの妙な間の対談には、黒柳徹子さんのこだわりが営々と守り続けてこられているという。

恐るべし「徹子の部屋」。

番組自体は、平日放映故に、見る機会は少ないのではあるが・・・
時折見ると、その独特の間と、冗長な空気感に、こころにさざ波が立つ。
これでいいのか?ゲストは納得しているのか?こちらが心配になるほどだ。

それもそのはず。
前著の中で、どういう収録スケジュールかも述べている。
毎週月曜日と火曜日に、まとめて6本を収録するのだそうだ。
1人のゲストとは、約1時間強の打ち合わせをしっかりやって、
黒柳徹子さん自身の手書きのメモ用紙が12枚程度できる・・・。
そのメモを頼りに収録に挑むというのが恒例らしい。

情報はディレクターやスタッフが用意するにしろ、・
ゲスト1人についての直接的な情報収集は、約1時間。
この番組は、「黒柳徹子さんの断片的なゲストへの思いこみ」だけで進行されている。
その上、「まとめ撮りかつ編集なし」。
ゲスト泣かせの番組であることに違いない。

しかし、よーく考えてみると・・・
つまらないところはカット。面白いところは、テロップで強調。
言いたことの主旨を歪めて、視聴者の面白い方へと話しが捏造される昨今の番組に比べると
『編集して面白いところだけ集めてしまうと、その方がどういう方かわからないでしょう。だって同じ言葉でも、「うーん」と考えこんで返事したことかもしれないし、即答だったかもしれない。編集で「うーん」を切っちゃったら、その方がどういう方か伝わらないでしょう? 』という、黒柳徹子さんは、いまどき正当派のガチンコではないか。

編集によって、「本心」を歪めるくらいなら・・・
撮って出しで、「どういう方か」をさらけ出して貰う。
「徹子の部屋」は、優しくて手強いジャーナリズム精神溢れる対談番組だったのだ。

そのガチンコ伝説は、ネット上で話題になっている。
中でも、2005年3月21日放送分のボビー・オロゴンの回は面白い。
そのやりとりは、文字で抜き出しただけでもドキドキする。


黒柳:あなた子どもの頃から嘘ばっかりついてるの?
ボビー:ついてない。ついてない。
黒柳:もうね、そういう風に、あの、攻撃って分かります?攻撃的って。
ボビー:うん。分かる。分かる。
黒柳:あたし攻撃的に言えってならいくらでもあなたに言えるのよ? でもゲストだと思うからお話をちゃんと承りましょうって。 承るって分かります?
ボビー:すみません 。
黒柳:お話を聞こうかな、って思ってたんですけどー。
あなたがそうなんだったら、私はそれに合わせることはできるんですよ。
ボビー:いやいやいや。おとなしくしてください。えへへ。
黒柳:ははは。おとなしくしてください?
ボビー:あわわわ。おとなしくします。
黒柳:あー、んじゃ私は大人しくします。


そして、収録も終わろうとする頃。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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