社員のモチベーションを高める報酬制度-パート3(最終回)

2008.10.29

組織・人材

社員のモチベーションを高める報酬制度-パート3(最終回)

奥山 由実子

社員のモチベーションを高める重要性と、報酬制度の活用の有効性について、これまで2度に渡ってお送りしてきました。いよいよ今回はこのテーマの最終回です。

前回は、社員の特性に合わせた報酬(金銭的報酬・非金銭的報酬)
の有効性についてお伝えしました。
社員の特性を知らずに、会社が良かれと思って一方的に何かを
与えても、実は社員にとってそれは喜ばしくないものであるケースがあり、
時間とエネルギーの無駄遣いになりかねません。

日本企業では社員のモチベーションを高めるために、
営業成績に応じて一時金を支払ったり、
長く勤めている人に長期休暇を与える制度が
一般的にとられています。
大きく分けると「金品」と「休暇」の報酬に大別されます。
両者とも分かりやすいものですが、「名誉」という
目に見えない要素をうまく融合することにより、
さらに大きな効果を挙げている例をご紹介します。

日本企業の報酬制度例


下記は日本企業で実際に導入される報酬制度の例です。

◆テーマパーク◆

お客様に対し、すばらしい対応を行った従業員には、
上司からカードが手渡されて、その従業員は後日
特別なパーティに招待される。
カードは多く発行されないので、
もらった従業員は周囲の尊敬の的となる。

この制度の良いところは、「常に自分たちの行動は見られている」
と認識することにより、よいサービスを意識するきっかけになる
ということです。
そして「自分たちは何をすべきか」を自主的に考えられるようになり、
会社が求めていることへの「気づき」を促します。

もう一例をご紹介します。

◆メーカー◆

この企業は技術者には「15%ルール」という、
業務に無関係であっても本人にとって興味ある研究については
自分の労働時間の15%を費やしてもよいとする制度があります。
これは不文律であって、
厳密に15%をとったかどうかは上司を含めて誰も関知しません。
すぐに役立つ研究でなくても、
何年か後に大きな意味を持つかもしれないという意図で設けられ、
研究者にとって非常に魅力的な制度です。

この制度の良いところは、
経済的な報酬を強調するのではなく、
「皆から認められること=レコグニション」を重視していることです。
これが金銭的報酬以上の魅力となっています。

アメリカ企業の報酬制度例


◆自動車メーカー◆
評価が月間最優秀の社員は、1ヵ月間、駐車場内の
会社入り口のすぐそばのスペースを利用できる制度。
これは土地の広大なアメリカならではのリワードで、
真夏の暑い日、真冬の寒い日に会社にすぐに入れる
駐車スペースを持てることは大きなベネフィットとなっています。

◆ファストフードフランチャイズ◆
各店舗のフロアスタッフは、お客様や同僚から「Thank you」
といわれたら「THANK YOU CARD」を店長から渡される。
10枚たまると現金ボーナスに換金できる。
とてもシンプルで、分かりやすい制度である。

社員を企業唯一の、そして最大のアセット(財産)と考え、
上手に人材活用をするのは経営者の仕事です。
厳しい市場の時代には「金品」ではあまり報いることが
できなくなっていきます。お金をかけずに、
社員に喜んで働いてもらえる原動力となるような制度を
御社も工夫してみてはいかがでしょうか。

社員一人ひとりが最大限に力を発揮できるよう、
会社からメッセージを発信し続けることが大切です。

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