「あなたとは違う」と言っちゃった首相の言葉に、喝っ!

2008.09.06

ライフ・ソーシャル

「あなたとは違う」と言っちゃった首相の言葉に、喝っ!

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

「自分を客観的に見ることができる」 「あなたとは違う」 福田首相の辞任会見の言葉が、2ちゃんねる等で話題になっている。若者達が、その言葉にひっかかってしまう心情は、意外と正しい気がする。なぜか・・・。

1980年代前半・・・。
京都にあった四畳半の下宿の部屋には、黒電話もないものだから・・・
デートのキャンセルなんてできやしないっ。
病気になっても、何しても、そこへは行かなきゃならなかった。
電報で、デートのドタキャンを受けたりもした。
一人に一台携帯電話を持っている現在、嘘みたいな話しだろうっ。

デートの約束の地に、やっとこ辿りついても、そわそわ。
相手が時間に遅れたら「何かあったのか」と心配したり。
「やっぱり嫌われたか」と嘆いてみたり・・・。
携帯電話で直接確認できる現在とは違う
「複雑な時間」が「待つという行為」には、滔々と流れていたっ。

勝手に、相手を想う気持ちを膨らませたり・・・
その想いが強すぎると・・・いつか、焦燥になって・・・
憎しみにもなっていったりする。
通信の不便による「待ちこがれる時間」は、
人間力を育ててきたのではないかと思うっ。
「会えない時間が愛育てるのさ」と書いたのは阿久悠先生だっ。
意のままにならないもの、どうしようもないこと・・・
そういうものに感受性は磨かれてきた。

簡単に約束を反故にできる。
場所や時間の変更をオンタイムにできる。
相手に流れている時間への想像力を欠いたコミュニケーションを、
通信技術の加速が助長しているっ。

通信技術の進化がもたらす「いつでも、どこでも」繋がれる環境は、
ビジネスにとって、格好の舞台になる。
しかし、その利便が、
「いつでもいい、どこでもいい」コミュニケーションの氾濫になっているっ。

待たなくてよい社会。待つことが出来ない社会。
「待つ」ことを忘れてしまった社会は、ますます不寛容になる。

上場企業の社長さんは、みんな嘆いている。
四半期(たった3ヶ月)の業績でもって、
その手腕をあーだこーだ言われても・・・。
個人株主は、短期でしかその企業を見ない。長い目で、成長を待たない。

3ヶ月先の未来しか語らない企業や株主って、どうだろう。
3ヶ月先の未来しか見えない国って、どうなんだろう。

合理的に、ドライに、企業を短期的評価で見るのもいい。
それも、ひとつの基準ではあるから・・・。
資本主義経済とは、そういう構造のものだから。

しかし、
最近の経済学では、
消費者や企業の行動を決めるもっとも重要な要因は心理だと言われ出した。
人々が単純な「合理性」にもとづいて行動しないことが明らかになった以上、
短期で最大の効果を出すという、
単純で合理的な基準を捨てる理論を確立する必要があると思う。
メカニカルな最適行動を想定するマクロ経済学では、
現在のようなグローバルな危機を説明できない。
いくら公共投資や、税制対策を続けても、根本的な解決はできない。
結局、先送りだ。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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