日本経済を取り巻く状況は、この数年で大きく様変わりしました。長く続いたデフレからインフレへと転じ、為替は円安基調が続いています。世界では紛争や内戦が長期化し、地政学リスクがこれまで以上に高まる中、企業を取り巻く外部環境も不確実性を増しています。
日本経済を取り巻く状況は、この数年で大きく様変わりしました。長く続いたデフレからインフレへと転じ、為替は円安基調が続いています。世界では紛争や内戦が長期化し、地政学リスクがこれまで以上に高まる中、企業を取り巻く外部環境も不確実性を増しています。
さらに日本では、コーポレートガバナンス・コードが改訂され、市場区分の見直しも進みました。市場ごとに求められるガバナンスの水準や資本効率、成長スピードが明確に定義され、企業は自社がどの市場水準に適合しているのか明示することが求められています。資本効率の向上や投資判断の透明性を高め、投資家から「選ばれる企業」であることがこれまで以上に重要になっているのです。
外部環境が大きく変わる今、経営者は変化を脅威として避けるのではなく、むしろ前提条件として受け入れ、それに合わせて自社の戦略をどう組み立てるべきかを考えていかなければなりません。
市場再編が迫る企業の新陳代謝
市場再編の象徴的な例が、グロース市場に導入された新たなルールです。現行の東証グロース市場の退出基準「上場から10年経過後に時価総額40億円以上」が、2030年には「上場から5年経過後に時価総額100億円以上」に引き上げられます。グロース市場に5年いるのにグロース(成長)しなかったということですから、ある意味で当然の基準とも言えます。
こうした厳格な基準の背景には、アメリカからの「日本も新陳代謝を進めるように」という強い要請があります。100年前のアメリカ株式市場、ニューヨーク30種平均には鉄道会社が10社ほど入っていましたが、現在は1社も残っていません。代わって市場を牽引しているのは、NVIDIA、Apple、Amazonといった、マグニフィセント7と呼ばれるテックジャイアントです。しかもそのうちいくつかは、50年前には存在すらしていなかった企業です。このようなスピードで、アメリカは産業構造をつねに進化させてきました。
一方日本では、自動車、メガバンク、総合商社、重工業といった従来型の大企業たちが今も経済を牽引しており、新陳代謝は進んでいないように見えます。東証プライム上場企業であっても、オールドエコノミーの組織構造を引きずり、構造改革に踏み切れていないケースが少なくありません。資本主義・自由主義経済である以上、本来であれば、自由競争を促し、淘汰されるべき企業は退場するという健全な循環が働くべきだと思います。しかし、デフレ期に分配を重視する政策が続いたことで、法人としての基盤が弱く、成長力にも乏しい企業まで存続させてしまった感があります。大企業だけではなく、約296万社ある法人(国税庁「会社標本調査結果」)の99%以上を占める未公開企業の入れ替えが十分に進まず、経済全体の新陳代謝が滞ってきました。
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2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
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