バリューデリバリーシステム(その1)

2008.06.19

仕事術

バリューデリバリーシステム(その1)

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

今回は、新規事業や新商品を作り出し、市場へ投入していくことを考えていく際に、非常に有用となるバリューデリバリーシステムのフレームワークに関して、成り立ちと考え方、使い方を解説していきます。言うのを忘れていましたが、フィリップコトラー教授の提唱しているフレームワークですね。

 機能的価値というのは、鉛筆で言うと、「黒い色でしるしがつけられる」ということでしょうね。

 では、情緒的価値というのは、なんでしょうか?鉛筆であったとしたら、握り心地が良いとか、書いていて気分がよくなるとか、そういうものです。

 もうちょっと説明しますと、機能としての効果はないけど、精神面に対する効果がある、といったことでしょうか?

 いわゆる経験経済的価値になります。なんでしょう、メーカーはサービスを売れ!みたいなお話しでしょうか?学問的にまじめに議論されているし、書籍もいっぱい出ているので、アマゾンで経験経済的価値を引いてください。

 例をもう1つ出すと、スタバのコーヒーですね。スタバのコーヒーは普通にコーヒー豆を使ったコーヒーなので、眠気が取れるとか、単純に美味しいとかなのですが、スターバックスでのコーヒー体験というのはちょっと違うんです。

 スターバックスは、家庭でも職場でもない、第3の心地よい場所、「サードプレイス」というものを提供しているのです!・・・と、スターバックスさんは主張しております・・・。

 まあ、経験経済的価値は顧客が感じるものですので、顧客的にどう思うかはまた別ですが、「ああ、私は今、スターバックスのコーヒーを飲んでいる!あー、リラックスできるわー」というのが、情緒的価値になりますね。

 こういう、機能的価値と情緒的価値をしっかり統合したものが、コンセプト、いわゆる提供価値になります。

 これで、ターゲットと、自社が顧客に提供できる価値の説明まで終わりましたね。

 3つ目の差別化のポイントに移りますと、「結局、ターゲットに対して提供する価値は、競合と比べるとどうなの?」ということを考えるための論点になります。

 一生懸命、ターゲットと提供価値を考えたとしても、既にやっている会社がたくさんいたら、困りますよね。

 お客さんに商品を持っていっても、「えーと、あの会社の商品と何が違うの?」と言われてしまうと、言葉に窮してしまいますよね。

 だから、同じようなターゲット、同じようなコンセプトの商品と、どう違うのか?というのはチェックしておく必要がありますし、棲み分けを考えつつ、コンセプトを考えていくということも重要です。

 場合によっては、ポジショニングマップのようなものを書いてみて、そうだ、こういう軸で見て違うんだ!ということをチェックしないといけません。

 まあ、ターゲットを定めて、粗いレベルでコンセプトが決まったら、逆に空いているポジションから、コンセプトを作っていくこともできますね。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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