社会を蝕む対症療法と利権のからくり ― なぜ、この国は問題を解決しないことで回り続けるのか ―

2026.06.16

組織・人材

社会を蝕む対症療法と利権のからくり ― なぜ、この国は問題を解決しないことで回り続けるのか ―

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

社会が本当に壊れていくとき、目に見える形で一気に崩壊するわけではない。 むしろ、表面上はそれなりに動いているように見える。 予算はつく。会議は開かれる。専門家が呼ばれる。新しい制度ができる。補助金も配られる。相談窓口も増える。研修も行われる。 一見すると、社会は問題に向き合っているように見える。 しかし、現実にはどうか。

問題が解決しないことで、得をする人たちがいる

本当に厄介なのは、対症療法が単なる失敗ではないということだ。

対症療法が続くことで、利益を得る人たちがいる。
問題が残り続けることで、仕事が生まれる人たちがいる。
課題が深刻であればあるほど、予算がつき、ポストができ、委託が発生し、会議体が増え、専門家ビジネスが広がる。

これが、利権のからくりである。

ここで言う利権とは、必ずしも違法なものを指しているわけではない。
もっと静かで、もっと見えにくい。

それは、問題が解決しないことによって維持される利益構造である。

困っている人がいる。
だから支援制度ができる。

制度ができる。
だから運営組織ができる。

運営組織ができる。
だから予算が必要になる。

予算が必要になる。
だから問題の深刻さが説明される。

しかし、問題が本当に解決してしまえば、その制度も、組織も、予算も、立場も縮小される。

だから、いつの間にか社会は、問題を解決する方向ではなく、問題を管理する方向へ進んでいく。

これは恐ろしいことである。

問題をなくすことよりも、問題を抱え続けることの方が、制度として都合がよくなる。
現場を変えることよりも、報告書を作ることの方が評価される。
人を育てることよりも、研修を実施した事実の方が成果になる。
地域を自立させることよりも、補助金を配った実績の方が成果になる。

こうして社会は、治す社会ではなく、処置する社会になる。
変える社会ではなく、管理する社会になる。
未来をつくる社会ではなく、症状を延命する社会になる。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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