若手研修を行うと、いつも感じることがある。 今の若手は、決して能力が低いわけではない。むしろ、優秀な若手は多い。指示されたことには真面目に取り組む。資料も作れる。発表もできる。チームで話し合い、それなりのアウトプットも出せる。 しかし、ある問いを投げると、多くの若手が止まる。 「あなたの仕事は、どんな社会課題を解決しているのか」
一つ目は、時間軸。
自分の行動、言動、仕事が、どのくらい先の未来を見据えているかである。今日だけなのか。今月だけなのか。今期だけなのか。3年後、10年後、次世代まで見ているのか。
二つ目は、空間軸。
自分の行動、言動、仕事が、どこまでの範囲を視野に入れているかである。自分だけなのか。チーム、組織、会社、地域社会、日本、世界まで見ているのか。
三つ目は、成長軸。
これはキーガンの成長段階で見たとき、自分の判断や行動がどの成熟度から発動しているかである。損得、快不快、自己防衛の段階なのか。周囲の期待や評価に合わせる段階なのか。自分の信念と責任で判断する段階なのか。さらに、社会的価値や未来責任まで引き受ける段階なのか。
この三軸で見たとき、最も低い視座は明確である。
「今だけ・金だけ・自分だけ」
今だけを見る人は、未来に責任を持てない。
自分だけを見る人は、仲間や顧客や社会の痛みに気づけない。
金だけを見る人は、仕事を社会課題の解決ではなく、自分の利益を得る手段としてしか見られない。
この視座のままでは、どれほど能力が高くても、社会に価値を生み出す人財にはならない。
そして問題は、この低い視座にとどまる人材が増え続けているように見えることだ。
若手だけではない。
上司も、経営者も、政治も、社会全体も、この低い視座に引き寄せられている。
企業では、今期の数字だけを見る。
人材育成をコストとして見る。
若手を早期戦力としてしか見ない。
社会課題よりも、目先の売上を優先する。
未来の人財づくりより、今の人手不足を埋めることに追われる。
上司は、部下の成長よりも、自分の管理負担を減らすことを優先する。
若手の挑戦よりも、ミスを防ぐことを優先する。
部下の未来よりも、自分の評価を守る。
学ばないまま、過去の成功体験で若手を指導する。
政治では、高齢者の声が大きく反映されやすい構造がある。人口構成として高齢者は多く、投票率も若年層より高い傾向にある。若手は、自分たちの一票で社会が変わるという実感を持ちにくい。日本財団の18歳意識調査でも、「自分の行動で国や社会を変えられると思う」と答えた日本の若者は46%で、調査対象6か国中最下位だった。
若手が社会に興味を持たないのではない。
社会が、若手に「あなたは社会を変える主体だ」という実感を渡してこなかったのである。
これは、極めて深い不条理である。
若手には「主体性を持て」と言う。
しかし、考えたことを意思決定に反映しない。
CHANGE
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株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
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