どの企業の現場にも、「あの人が担当すると、なぜか顧客満足度が高い」「あのチームは、理由は分からないが常に高い成果が出る」といった、いわゆる「センス」の持ち主が存在します。しかし、そうした個人の活躍に頼っている限り、組織としての成長には限界が訪れます。 なぜなら、その優秀な担当者が異動や退職をした途端、成果が再現されなくなってしまうからです。マニュアルを整え、丁寧な引き継ぎを行っても、同じ結果にはならない。それは、価値が「センス」として個人の中に閉じ込められているからです。
これまで「なぜか上手くいかない」と感覚的に捉えていた問題が、明確な「構造」として見えるようになります。また、単なる部門間の調整役ではなく、戦略と現場、あるいは企業と顧客の「あいだ」をつなぐ「価値創造の設計者」として、異業種事例の翻訳や顧客体験の設計を主導できるようになるのです。
育成は「役割付与」から始まる
「サービスサイエンティスト」を育てるために、いきなり大げさな肩書きを与える必要はありません。まずは、日々の業務の中で小さな「役割」を任せることから始めます。
「このプロジェクトでは、顧客体験を言語化する役割を担ってほしい」「この他社事例を、自社向けに翻訳してみてほしい」といった、具体的な視点の提供を求めるのです。こうした小さな役割の積み重ねが、個人のセンスを組織の共有知へと変えていく第一歩となります。
センスを持つ個人を孤立させるのではなく、その能力を組織の資産に変えていく。サービスサイエンティストという専門性は、「価値を偶然に任せない組織」へと変貌を遂げるための、最も確かな鍵となります。
次回はついに最終回。これからの企業において「サービスを設計する」ということが、どのような未来を切り拓くのか。まとめとしてお伝えします。
新刊『事前期待~リ・プロデュースから始める顧客価値の再現性と進化の設計図~』
| 提供会社: | サービスサイエンティスト (松井サービスコンサルティング) |
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2009.02.10
2015.01.26
サービスサイエンティスト (松井サービスコンサルティング)
サービスサイエンティスト(サービス事業改革の専門家)として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 【最新刊】事前期待~リ・プロデュースから始める顧客価値の再現性と進化の設計図~【代表著書】日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新
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