9️⃣【決定版】人材育成のトリセツ(取扱説明書)――第9回人材育成は、人事が“プロ”でなければ失敗する

2026.02.07

組織・人材

9️⃣【決定版】人材育成のトリセツ(取扱説明書)――第9回人材育成は、人事が“プロ”でなければ失敗する

富士 翔大郎
人材育成コンサルタント、シニアインストラクター

第9回は「このメソッドを“属人化させなかった理由”」がテーマ。 私が一貫して語ってきた 「人材開発担当がプロでなければ育成は成立しない」 「だから最初に育てるべきは“人事自身”」 を、思想と実践で描く回です。

私が一貫して語ってきた
「人材開発担当がプロでなければ育成は成立しない」
「だから最初に育てるべきは“人事自身”」
を、思想と実践で描く回です。

【決定版】人材育成のトリセツ(取扱説明書)――第9回


人材育成は、人事が“プロ”でなければ失敗する

――私が最初にやったのは、担当者の教育だった

ここまで読んで、
こう思った人がいるかもしれない。

「それは、あなた個人が優秀だったからできたのでは?」

その問いに、私ははっきり答えられる。

いいえ。
私がいなくなっても、回るように設計していた。

そして、そのために
私が最初に着手したのは――
研修ではなかった。



最初に育てたのは「人事(人材開発)」だった

人材育成がうまくいかない会社には、
共通点がある。

• 人事が“調整役”に留まっている
• ベンダーに丸投げしている
• 研修を評価できない
• 良し悪しを言語化できない

つまり、

人事自身が、育成のプロではない

状態だ。

どれだけ立派な研修を入れても、
これでは成功しない。

だから私は、
まず担当者を育てることから始めた。



立ち会い続けた理由

私は、
可能な限りすべての研修に立ち会った。

理由は二つある。

一つは、
現場でしか分からないことがあるから。
• 空気
• 温度
• 微妙な違和感
• 受講者の目の動き

もう一つは、

人事が“本気”であることを、
受講者と講師の両方に示すため


だ。

人事が真剣だと、
場の緊張感は変わる。



ノウハウは「見て盗め」ではなく、共有する

ただし、
属人的にやるつもりはなかった。
• なぜそう判断したのか
• なぜこの設計にしたのか
• なぜ今回はやらなかったのか

これらを、
チーム内で必ず言語化した。

勘や経験を、
思考プロセスとして共有する

これができないと、
人は育たない。



私がいなくても回った理由

やがて、
私はすべての研修に立ち会わなくなった。

それでも、
研修の質は落ちなかった。

なぜか。
• チームが同じ判断軸を持っていた
• 何を優先するかが共有されていた
• 「それは違う」と言える関係だった

つまり、

思想が、チームに残っていた

ということだ。



それでも崩れた理由

正直に書いておく。

この仕組みは、
永遠には続かなかった。

きっかけは、
人事部長の交代だった。
• 育成への価値観の違い
• 過去の経験からの押し付け
• 「鍛える研修」への回帰

少しずつ、
基本コンセプトが変わっていった。



「育成に興味がある人」が引き起こすデグレ

皮肉な話だが、
一番厄介なのは、

育成に強い関心を持っている人

だった。

彼らは、
• 自分の成功体験を基準にする
• 古い育成観を正解だと思っている
• 人事をプロとして扱わない

結果、
• 型に戻る
• 訓練に寄る
• 内発的動機が削がれる

研修は、
だんだん楽しくなくなり、
反発が増えていった。



それでも、無駄ではなかった

では、
すべてが失敗だったのか。

私は、そうは思っていない。
• 人が変わった
• 文化の芽は生まれた
• ノウハウは残った

何より、

このメソッドは、
他でも使える形で整理できた

それが、
今こうして書いている理由だ。



人材育成の最大の課題

最後に、
第9回の結論を書いておく。

日本企業の最大の課題は、
人材育成だけが
「社員がプロではない領域」になっていること

営業にはプロがいる。
経理にもプロがいる。

だが、
人を育てることだけは、
「誰でも語れてしまう」。

これは、
極めて危険だ。



次回予告

次回は、
ここまでの思想と実践を踏まえ、
• なぜ人材育成検定を作りたいのか
• なぜ育成を“資格化”すべきだと考えたのか
• 教育DXとの接続点

未来の人材育成の話に進む。

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富士 翔大郎

人材育成コンサルタント、シニアインストラクター

● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民

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