【決定版】人材育成のトリセツ(取扱説明書)――第1回 なぜ会社の研修は、後回しにされてしまうのか 研修が嫌われている、とは思っていない。 少なくとも、私が現場で見てきた社員たちは、そうではなかった。 資格取得の研修や、専門スキルを高める講座には、自然と人が集まる。 忙しい中でも時間をつくり、事前に調べ、真剣に参加する。 一方で、階層別研修や会社指定の研修になると、空気が変わる。 「意味がない」と言っているわけではない。 「行きたくない」と拒否しているわけでもない。 ただ―― 忙しい中で、どうしても後回しになる。 私はこの違和感から、人材育成の仕事を考え続けてきた。
【決定版】人材育成のトリセツ(取扱説明書)――第1回
なぜ会社の研修は、後回しにされてしまうのか
研修が嫌われている、とは思っていない。
少なくとも、私が現場で見てきた社員たちは、そうではなかった。
資格取得の研修や、専門スキルを高める講座には、自然と人が集まる。
忙しい中でも時間をつくり、事前に調べ、真剣に参加する。
一方で、階層別研修や会社指定の研修になると、空気が変わる。
「意味がない」と言っているわけではない。
「行きたくない」と拒否しているわけでもない。
ただ――
忙しい中で、どうしても後回しになる。
私はこの違和感から、人材育成の仕事を考え続けてきた。
違いは「研修の質」ではない
よくある説明は、こうだ。
• 会社の研修はつまらない
• 講師が良くない
• 内容が古い
しかし、7年間、数え切れないほどの研修に立ち会ってきて分かったのは、
問題はそこではないということだ。
決定的な違いは、もっとシンプルだった。
その研修を、自分で選んでいるかどうか
資格取得研修には、はっきりした目的がある。
• 何が身につくのか
• どんな場面で使えるのか
• 自分の将来にどうつながるのか
そして何より、
「自分で選んだ」という感覚がある。
この時点で、人はすでに前を向いている。
「強制された学び」が優先されない理由
階層別研修や会社指定研修は、どうしても逆になる。
• なぜ今これをやるのか分からない
• 自分の課題と結びついていない
• 選択の余地がない
結果として、研修はこう扱われる。
「大事だとは思うけど、今じゃない」
これは社員の意識の問題ではない。
人として、ごく自然な反応だ。
人は、自分で選べないものに、
本気になることができない。
会社の研修が抱える、構造的な矛盾
ここで、多くの会社が見落としている矛盾がある。
会社はこう言う。
• 人を育てたい
• 将来を担う人材をつくりたい
その一方で、
• 研修の目的は曖昧なまま
• ターゲットは一括り
• 内容は前年踏襲
• 効果は満足度アンケートで判断
これでは、社員が研修を
「自分の時間を使う価値のあるもの」
として扱えなくなるのは当然だ。
研修は「商品」であり「サービス」である
私がたどり着いた結論は、シンプルだ。
研修は、社員というお客様に提供する商品であり、サービスである。
商品である以上、
• 誰に
• 何を
• どんな価値として
• どんな体験で届けるのか
を設計しなければならない。
それをせずに、
「会社のためだから」
「成長のためだから」
と言っても、
人は動かない。
後回しにされる研修から、選ばれる研修へ
会社の研修が後回しにされるのは、
社員の意識が低いからでも、
研修が無意味だからでもない。
選ばれる設計になっていないだけ
だ。
この連載では、
• なぜ研修はイベントで終わるのか
• なぜ満足度では人は変わらないのか
• どうすれば強制研修でも「自分ごと」になるのか
を、机上の理論ではなく、
現場で磨かれた実践から解き明かしていく。
次回予告
次回は、
私が最初に作った研修フレームの話をする。
なぜ研修は、
当日ではなく「3か月前」から始まっているのか。
なぜ私は、
研修の効果を5段階で把握するようになったのか。
すべては、
人が変わる瞬間を、現場で見続けた結果だ。
【決定版】人材育成のトリセツ
2026.01.24
シニアインストラクター
● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民
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