キリスト教からイスラム教へ

画像: 映画『ザ・メッセージ』1976から

2021.05.25

開発秘話

キリスト教からイスラム教へ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/私が東大にいたころ、イスラム学科ができたばかりで、学生は一人だけ。教授と一対一では気まずい、というので、彼につきあって私と友人の三人で受講したが、当時はまだ、イスラムなど、共産圏よりも遠い話。それが、いまでは生の情報も増え、あのころ習ったのとはずいぶん違うほんとうの姿が見えるようになってきた。/

J ムスリム以外の人については、どうなんでしょう?

イスラム教が興味深いのは、もともと人に改宗を勧めないことです。一日五回の礼拝だって、その呼びかけは、成功したければ礼拝においで、です。逆に言うと、成功したいと思わないなら、好きにしろ、ということ。実際、決められた礼拝などを守って、清潔で規則正しい生活をして、共同体の仲間と社交に努め、貧窮者のことなども思いやって善行を積んでいれば、ふつうに考えても、仕事も暮らしも、きっと成功するでしょ。おまけに、イスラム帝国の広がりで、アラビア語が国際共通語となり、交流でも商売でも同じイスラム法が通用するようになったことも、彼らの成功を後押ししました。

また、イスラム教では、ムハンマドの預言が最後で完全と考えるものの、他の民族にもまた、それぞれに別の預言者が遣わされている、としており、そのそれぞれの民族がそのそれぞれの預言に従って神に帰依しているなら、それはそれでけっこう、連中の中には来世で同じ楽園に行く者もいるだろう、として、ほとんど関与しません。ただ、問題は、ユダヤ教やキリスト教など、近い宗教の方が、イスラム教に干渉したがる。それで、この後、十字軍という大戦争になるのですが、その話は、また今度。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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