「コロナ・コスト」のジレンマ:ウィズ・コロナ時代に生き延びる

画像: 石塚しのぶ撮影

2020.06.05

経営・マネジメント

「コロナ・コスト」のジレンマ:ウィズ・コロナ時代に生き延びる

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

アメリカでも各地でロックダウン(外出禁止令)の緩和・解除が進んでいる。それに伴い、中小、大手、規模を問わず、各種ビジネスが営業を再開しているが、そこで悩みの種になっているのが「コロナ・コスト」の存在だ。ウィズ・コロナ時代に生き延びるには、新しいコスト構造の模索が必須になる。

「コロナ・コスト」に悩まされているのは小売店舗やレストランばかりではない。ヘア・サロン、ネイル・サロンなどの美容系ビジネス、歯科医などの医療系ビジネス、宅配・配送業者なども同様の難題を抱えている。

アメリカのレストランの中には、食事の値段に一定割合を「コロナ料金」として加算するところも出てきているが、追加徴収に腹を立てた顧客がレシートの写真を撮りインスタグラムなどのソーシャル・メディアに載せ、その結果としてレストランが猛烈な批判を浴びるといった事件も起きている。最近では、顧客の反発を恐れて、「コロナ料金」と明記するのではなく、メニュー全体の価格を上げるという方策をとるところが主流になっているようだ。

歯科医など感染のリスクが高いビジネスでは、感染防止のための設備投資に数万ドル(数百万円)を費やすところも少なくないという。そのうえに、マスクや手袋、フェイスシールドなどの防護用品のコストも毎回の診療の経費として加算されていく。一回の診療あたりに、10ドルから150ドルの「コロナ料金」が徴収される見込みであるという。

ロックダウン緩和・解除でやっと営業再開になったが、喜んでばかりはいられないということだ。新たなチャレンジが待ち受けている。「店を開ければ赤字になる」という状態が続けば、どんなビジネスでも廃業を余儀なくされる。コロナ時代の新しいコスト管理が深刻な課題であるということだ。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。

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