競合分析: 強敵と書いて強敵(トモ)と読む

画像: Quinn Dombrowski

2015.07.23

経営・マネジメント

競合分析: 強敵と書いて強敵(トモ)と読む

入野 康隆

マンガ「北斗の拳」のセリフですが、事業計画書の競合分析の話です。 事業計画書のレビューをしていると、初級者だけでなく中級者でもよくある間違いが多いセクションなので、要点をまとめておきます。


初級者によくある間違い

■ 「敵はいません」と書いてしまう
「当社の商品はユニークなので競合他社や競合商品はありません」と書いてしまう人がいます。でも、「商品・サービスに競合がいないということは市場もない」と経験あるベンチャーキャピタルはみなします。
「敵はいません」と書いてある事業計画の多くは、本当に「無敵だ」と経営者が思っているというよりも単なる調査不足であるケースが圧倒的に多いです。無料の商品・サービスも含めてライバルを創るつもりで調査して見つけましょう。

■ 「すべては敵だ」とはじめから思い込む
競合と協業は紙一重。
ライバル企業のアウトソースニーズを捉えて創業時の貴重なキャッシュを得たり、事業立ち上げ期の試作品やビジネステンプレートをライバル企業の力を借りて作る可能性も捨てないでください。

■ ネットでしか調査していない
「調査しました」といってもGoogleで検索しているだけのケース。実地調査や業界人へのヒアリングをしていないのは土地勘や人脈、行動力がない証拠とみなされてしまいます。

■ 大手しか競合として名前が挙がっていない
あなたと同じようなベンチャー・社内新規事業は業界には必ずいるはず。事業立ち上げ期の短期的な良い目標となる場合もあるので、必ず現在の自分の会社に近いポジショニングの企業を探しましょう。

中級者でもよくある間違い

■ 「競合の声」しか聞いていない
競合のウェブサイトや社員の声しか聞いていないのが典型。競合の声にはプロパガンダ的なものを含まれているので、競合の顧客の声や競合のサプライヤーの不平不満も集めましょう。彼らの抱える問題に解決策を提供できるならば大きなビジネスチャンスとなる可能性があります。

■ 「下請けになりさがりたくない」と意地をはる
ライバル企業のアウトソースニーズに下請けとして受注することをよしとしないケース。特に脱サラした起業家には多いケースですが、起業家ならば、己のプライドと現実の折り合いをしたたかにつけましょう。立ち上げ期に下請けとしてノウハウやキャッシュを貯めることと、万年下請けに甘んずることは同じではありません。

■ 「大企業を下請けにする」という選択肢を考えていない
大企業の業界プレーヤーを見ると、競争するか、下請けとなるかの2択しか考えていない卑屈な人がいます。 バリューチェーン上の顧客インターフェース部分を押さえてしまえば中小企業でも圧倒的に優位となるビジネスも多いので、大企業を下請けにする可能性は捨てないでください。

次のページ■ 「どの部分で負けてもいいのか」を考えていない

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