「副業解禁」に飛びつきたい人へ

2018.04.09

組織・人材

「副業解禁」に飛びつきたい人へ

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

副業を解禁する企業がこれから増えていくという。会社に勤める身としてはどのように考えればいいのだろうか。「働く自由度が増す!」「収入が増える!」と喜んでいいのだろうか。

副業解禁は喜ぶべきか

そこで副業解禁という話になるのだが、これは、会社に勤める身としてはどのように考えればいいのだろうか。「働く自由度が増す!」「収入が増える!」と喜んでいいのだろうか。

間違いなく、働くことに関して様々な選択肢を用意されることで、多様な働き方が実現できるという側面もあるが、企業側の苦しい側面も忘れてはならない。

企業としては、優秀で仕事ができる人をつなぎとめておかなければならない。仕事ができ、実力がある人ほど、所属組織を選択することができる。あるいは独立して起業することもできるからだ。

少なくとも「どこで働くか?」の判断は個人に委ねられることになるから、仕事ができる人ほど、より良い条件の、働く場所の選択肢が増えることになる。

働く場所を選ぶ権利は、働く側(優秀で実力のある人)にあるから、条件をよくするしかないのだが、本当に実力がある人が満足する報酬は、ひとつの仕事で得られる経済的な報酬だけではない。

自分の能力が試せる場所や仕事が多様で、チャレンジ精神が生かされる仕事があるほど満足度も高くなる。

そういう人にとっての「副業」は、単に「お金稼ぎ」だけではない。自分の能力の発揮場所が増えることによる、さらなる能力の向上だ。副業によって、さらに実力が増すことになる。

つまり、副業解禁は、実力ある人材のつなぎ止め策になりえるということだ。本当に実力がある人は、実力を発揮する違う場を見つけたとしても、本業がおろそかになることはまずない。

ややこしいのは、この「仕事ができる、実力のある人」ではない人たちだ。副業解禁を「ラッキー」とばかりに、アルバイトを検討するような人たちだ。会社からしても、たとえばそれによって残業が減れば、コスト削減にもつながり歓迎するはずだ。

しかし、結論を言えば、副業解禁を「増えない給料」を補足するためのアルバイトができると思って喜ぶようでは、ビジネスでの成功はおぼつかないだろう。

逆に本業がおろそかになり、さらに本業で成果を出すのが難しくなるだけだ。アルバイトの時間があるなら、本業の成果に結びつく勉強をした方が良い。

もしあなたの会社が副業解禁を採用するのであれば、お金を求めるのではなく、今持っているスキルを見つめ直し、「現在のスキルを活かせるとしたら、それはどこか」「現在の仕事の成果をさらに上げるために、新たに身に着けるべきスキルは何か、そのスキルはどこで身につくのか、身につく仕事はあるか」の二つを考えてみることだ。

市場の中で通用するには、自分の価値を高める以外に方法はないのだから。

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