コンセプチュアル思考〈第23回〉 コンセプトの精錬法[5]~研ぎ澄まし

画像: Career Portrait Consulting

2017.03.16

組織・人材

コンセプチュアル思考〈第23回〉 コンセプトの精錬法[5]~研ぎ澄まし

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ

「霧雨(きりさめ)」
「小糠雨(こぬかあめ)」
「時雨(しぐれ)」
「涙雨(なみだあめ)」
「五月雨(さみだれ)」
「狐の嫁入り(きつねのよめいり)」
「氷雨(ひさめ)」
「翠雨(すいう)」
「卯の花腐し(うのはなくたし)」
「地雨(じあめ)」
「外待雨(ほまちあめ)」
「篠突く雨(しのつくあめ)」

などの言葉を心で持っている人は、感性のメッシュが細かで、その分、豊かに景色を受け取ることができます。ただ、これらの言葉を受験勉強のように覚えれば感性が鋭敏になるということでもありません。結局のところ、見えているものを、もっと感じ入りたい、もっとシャープに像を結んで外に押し出したい、そういった詩心が溢れてくると、人はいやがうえにも言葉という道具を探したくなるのです。



また、職人の世界では、物を加工する場合、実に多くの技を状況に応じて使い分けします。たとえば、腕の立つ金属加工の職人たちの間では、鉄を「けずる」場合、「削(けず)る」「挽(ひ)く」「切(き)る」「剥(へず)る」「刳(く)る」「刮(きさ)ぐ」「揉(も)む」「抉(えぐ)る」「浚(さら)う」「舐(な)める」「毟(むし)る」「盗(ぬす)む」などといったふうに、さまざまあるそうです。

「機械職人は、「あと1ミリ削ってくれ」とはいいますが、「あと100分の3ミリ削ってくれ」とはあまりいいません。……「あとイッパツ舐(な)めて、しっくり入るようにしてくれ」とか、「表面が毟(むし)れていて、みっともないから、イッパツ浚(さら)って、見てくれをよくしといてくれ」と言います」。 ───小関智弘著『職人ことばの「技と粋」』より

一般の素人であれば、「けずる」ことをみな一緒くたで考えますが、職人は100分の何ミリの世界をはっきりと感じ取り、それに合わせて意識や能力を使い分けるのです。

微妙な差異へのこだわり、気配り、集中力。これらは必ずしも目に見えるものではありませんが、仕事のアウトプットには必ず現れるものです。「神は細部に宿る」「大胆に、かつ繊細に」とはよく言いますが、メッシュの細かな人がときに大胆にいくことはできます。しかし、メッシュの粗い人が、いざ繊細にいくことはできません。細かな感覚を養ってこそ、コンセプトの研ぎ澄ましは可能になります。


【補講】
◆〈5-a:エッジを立てる〉ときの「πの字思考プロセス」

「コンセプチュアル思考」の基本の思考フローは、「抽象化(引き抜く)→概念化(とらえる)→具体化(ひらく)」でした。エッジを立ててコンセプトを研ぎ澄ませる作業もやはりこのプロセスです。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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