GEが今、GEキャピタルを手放す理由

画像: GE Report

2015.06.01

経営・マネジメント

GEが今、GEキャピタルを手放す理由

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

GEが長年の懸案、GEキャピタルの売却を公式に発表した。そのスケールもインパクトも例外的だが、意図はこれ以上ないほど明確である。

では何がGEをして、これほどの主力事業の切り離しを決断させたのだろう。

当然、金融事業に第一の理由がある。ある種のとてつもないリスクを抱えているからだ。それは2008年のリーマン・ショック時に顕在化した。GEキャピタルが瀕死の状態に陥り、ひいてはGE全体も深刻な状態になったことを覚えている諸兄もおられるだろう。

当時、GEは150億ドル規模の増資を実施してこの危機を乗り切ったが、このうち30億ドルの優先株はウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが引き受けた(のちにGEが買い戻し)。そして多くの米大手銀行と同様、GEキャピタルもまた、債務に対する600億ドルにも上る政府保証を受けてようやく存続できたのだ。

その後も金融部門の利益は伸びず、負債額は簡単には縮小せず、今現在でも同社の負債は約33百億ドルに上るとされる。米金利がじりじり上昇気配を示す一方で新興国経済に変調の兆しが見られる中、いつまた大きな経済ショックが起こり、悪夢が蘇らないという保証はない。

ではなぜ今なのだろうか。

実はリーマン・ショック直後はもちろん、過去数年の間に何度も、資本市場関係者からは「GEはGEキャピタルを売るべきだ、でも無理だろう」という提言的な批判記事が出ていた。しかしながらそうしたコメントを裏付けるようにGEは金融部門を保持し続けてきた。ずっと売上で40%前後、利益で半分前後を稼いできた部門を手放すことがどれほど難しいか、想像に難くない。

しかし昨年のアニュアルリポートでは遂に「金融部門は当社の中核ビジネスではない」というコメントが掲載されるに至った(つまり今回の発表は全く唐突ではない)。これで売却の方向性は決まったことは外部にも分かった。問題はその踏ん切りをつけるタイミングであり、きっかけだった。

ヒントは、イメルト氏は過去にも似たような行動を起こしていることだ。2007年にプラスチックス部門を、そして先に触れたように2011年から2013年に掛けてはメディア部門を、昨年には創業事業である家電部門を、それぞれ切り離している。

前任者のジャック・ウェルチ氏は「中性子爆弾・ジャック」の呼び名があったほど苛烈なリストラ実行が目立っていたが、イメルト氏にはそうしたイメージはない。しかし実態は違う。彼もまたウェルチ氏に劣らない、「リストラを躊躇しない経営者」なのだ。

ただしウェルチ氏のように単純に「業界1位または2位」以外は手放す(といいながらもNBCや家電部門・金融部門を残していたが)という「ポートフォリオ経営」に徹しているわけではないようだ。むしろ少しずつグループの事業ドメインをはっきりさせて理想の形に近づけるべく動いてきたというのが事実のようだ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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