新規事業における素朴な疑問 (1) “万能”手法の信奉

画像: Matthias Uhlig

2015.08.13

経営・マネジメント

新規事業における素朴な疑問 (1) “万能”手法の信奉

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

新規事業に関するアプローチには幾つかあり、企業の置かれた経営環境次第で適切なものは異なるし、その中で適用すべき手法も一律ではない。それなのに流行の経営手法が万能のように効くと思うのはなぜ?

弊社がお手伝いする経営コンサルティングのテーマで今一番多いのは新規事業だ。独自技術などの適用領域から考えるような新規事業の「開発」のケースから、既に数年前から始めてはいるけれど期待通りに伸びないので方向性・やり方を「見直し」たいというケースまで、色々な背景事情がある。

小生個人としては4半世紀にわたってそうしたお手伝いをしているが、今までどうしていたのかをお聞きすると、素朴な疑問を抱くことが少なくない。その主なものをシリーズ的に取り上げたいと思う。今回はその1回目。

大半の企業が新規事業に取り組んでいるが、経営者の方々のある行動が大きな問題を生むことが往々にしてある。それは流行の手法を自社に盲目的に適用しようとすることだ。

世の中で注目されている「○○戦略」とか「XX理論」とかいうのを書店やウェブで見つけ、経営セミナーで専門家の話を聞くと、なんだか自社でもすごく効果がありそうに思えてくるようだ(当然ながら「専門家」たちはそう思ってもらうように語るのだが)。これは実は新規事業に限る話ではなく、業務改革や管理統制など他の経営イシューでも同様の傾向があると思える。

関心の強い経営イシューにおいて専門家である経営コンサルタントや大学の教授などに相談をすることは正しいはずだが、彼らにぶつける質問の仕方に問題があるようだ。いきなり「この手法はどうやったら我が社にうまく適用できるだろう」といった、適用することを前提とした尋ね方になってしまうのだ。当然ながら答える側もその前提に乗って、しかも質問者の興味を逸らさないように答える。

でも本当はまず、「我が社の状況において新規事業は本当に必要なのだろうか、もしそうならどういった位置づけの新規事業が望ましいのだろう」という自問があり、その上で「ではどういった考え方で新規事業開発に取り組めばよいのだろう」というアプローチに関する問いが続くべきだ。

その上で、自社のおかれている経営状況とそのアプローチの考え方に当該の手法がぴったり合うのであれば、初めて「その手法をどうやって適用すべきか」という話につながるはずだ。もしどうも合わないのであれば、「この手法を適用することはお薦めできません」というアドバイスがあるべきだが、必ずしもそうはならないようだ。

身近な例で考えてみよう。ダイエットしたい人は世に多いが、その時に流行しているエクササイズや運動マシーン、サプリメントに飛びついて買ってしまい、長続きせずにお金の無駄使いを繰り返す人が少なくない。本来なら、まず医師に相談して自分の体質や生活パターンに合ったやり方を検討すべきところだが、テレビショッピング番組を観ているうちにその気になってしまい、衝動買いしてしまうのだ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

当社は新規事業の開発・推進・見直しを中心とした戦略コンサルティング・サービスを提供しております。代表である私は、30年にわたる戦略コンサルティングと、実務での新規事業開発の経験を基に、企業の特性と事情に合わせた「実践的アプローチ」、「3倍速のスピード感」、「サイド・バイ・サイドの姿勢」を持って、経営者の思いを実現することを心掛けています。 新規事業やサービスの開発においては、テーマ探索~事業仮説開発~検証~試行といったプロセスに沿って一気通貫でご支援することもできますし、必要に応じて一部だけを抜き出して対応することもできます。 詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。

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