あなたの家族に忍び寄る”介護による家庭崩壊”の危機

画像: Wellcome Images

2014.09.23

経営・マネジメント

あなたの家族に忍び寄る”介護による家庭崩壊”の危機

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

あなたの親、またはあなたの配偶者の親が要介護状態になったら…。そのとき「在宅介護」を余儀なくされたら…。あまり考えたくないリスクとはいえ、家庭の危機はすぐそこに忍び寄っている。

必ずしも介護制度成立以前の状態に戻るのではない。なぜなら我々の社会はその後、核家族化が極端に進み、同時に少子高齢化が急速に進んでいるからだ。

息子や娘は都会で職を得て、結婚して核家族を養ってきたのだ。そこに、同居していない実家の親が確実に年老いてきている現実が迫ってくるのだ。その時、自宅介護を余儀なくされると、一体どうなるのだろう。役所の相談員とのやり取りをシミュレーションしてみよう。

<<あぁ、あなたは50前の既婚男性で、お父さんは既になくなっており、(その介護を独力でやり遂げた)お母さんが一人、実家で暮らしているのですね。え?お母さんは最近転んでしまい、要介護認定を受けた?しかもいつの間にか認知症が進んでいることが分かった?

そうですか。それで適切な介護施設を探しているけど、空きが全然見つからないのですね。どこも人手不足ですからね。

お母さんの面倒を見てくれる兄弟姉妹は実家の地元にいらっしゃらないのですか?いない、そうですか。では非常にややこしい「連立方程式」を解かねばなりませんね(しかも最適解があるとは限りません)。

自宅にお母さんを呼んで、そこで介護したいとお考えですか?しかし都会の狭い家にさらに老齢の家族を増やせますか?介護となればベッドを置く部屋が必要ですよ。大きくなったお子さんから部屋を採り上げますか?

そもそも誰が介護を担うのですか?奥さんのご両親であれば、奥さんが仕事を辞めても、ということに落ち着くのでしょうが、旦那さんのお母さんであれば、奥さんに仕事を辞めてもらって介護に張り付けることに抵抗は小さくないでしょうね。ではあなたが退職して介護しますか?一家の収入は激減しますね。それとも夫婦お2人で在職したまま何とかやり繰りしますか?

今までのように残業はできませんし、昼間に付き添う必要もしょっちゅうありますよ。介護休暇なんてすぐ使い果たしてしまいます。あなたの会社にはそうした理解、行き届いた制度はありますか?

夫婦でやり繰りするとしても、年数があらかじめ限定されていればともかく、介護はいつまで続くか分からないから精神的に大変なのです。自宅介護を担うということは並大抵の苦労ではありませんよ。

いっそのこと一家で田舎に引っ越して、実家またはその近所に家を構えて、そこで介護をしますか?でも会社は辞めざるを得ないですね。都会でやっていたような仕事は田舎にはありませんよ。故郷の友人の伝手で何かまともな仕事が見つかる人は非常に幸運です。今さら農家や林業を始める気力・体力がありますか?

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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