顧客満足向上の盲点①「いかにお客様に喜んで頂くか」は筋違い?!

画像: Graeme Darbyshire

2013.02.13

経営・マネジメント

顧客満足向上の盲点①「いかにお客様に喜んで頂くか」は筋違い?!

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

顧客満足向上(CS向上)やサービス向上に苦戦する方が多いようです。そこで、重要にも関わらず見落とされてしまいがちなポイントを、サービスサイエンスの視点も交えて捉えていきたいと思います。今回はその1回目。「いかにお客様に喜んで頂くか」という視点で活動を進めるのは実は筋違いだったという点を取り上げます。


■サービスの定義からも分かる、「お客様にいかに喜んで頂くか」より大切なこと

ここでもう一つ重要な定義を見てみたいと思います。それはサービスの定義です。

『人や構造物が発揮する機能で、ユーザーの事前期待に適合するものをサービスという』

これがサービスの定義です。この定義の中には実に多くのポイントが隠されているのですが、今回のテーマに関連するポイントを紹介します。

それは、「事前期待に適合するものをサービスという」という部分です。裏を返せば、事前期待に適合しないものはサービスと呼びませんよ、ということになるのですが、では何と呼ぶか?それは「余計なお世話」や「無意味行為」「迷惑行為」と呼ばれてしまうのです。

ここから分かるのは、お客様に喜んでもらうために「良いサービスは喜ばれる」と思って勝手に作ったサービスには、かなりの割合で「余計なお世話」などが入り込んでしまうということです。言い換えれば、事前期待を掴まないとサービスは提供できない。事前期待を掴まないと、顧客満足は得られない。ということなのです。
これを理解しているかどうかが、顧客満足向上活動において、極めて重要なポイントになるのです。


■ではこれからの顧客満足向上(CS向上)活動はどうしたらいい?

これまでに見てきたように、顧客満足向上やサービス向上の活動のキーワードは、「お客様の事前期待」です。ではこの「事前期待」というキーワードをどのように活動に取り込んだらよいのでしょうか?

やはり先ずは、事前期待を顧客満足向上活動の目標値として掲げるということです。つまり「いかにお客様に喜んで頂くか」ではなく、「お客様はどんな事前期待を持っているのか」を掴み、徹底的に議論するところから始めることが効果的だと思います。
 *事前期待とはどんなものなのかについては、「CS向上のコツ:どの事前期待に応えるか?」の記事をご覧ください。また、どのように事前期待を掴み、議論を進めていくのか、その方法やポイントについては、今後触れていきたいと思います。

しかし、実はこの「事前期待を掴む」ということは、想像以上に難しい時代になってきています。なぜならば、お客様のニーズの持ち方が時代と共に変化してきて、最近では「お客様自身、自分のニーズが分からない」という時代になっているからなんです。

つまり、営業マンがお客様を訪問して「何が欲しいですか?事前期待は何ですか?」とお伺いしても、アンケートを取っても、お客様自身が本当に何が欲しいのかをうまく言えなくなってきたということです。

 では、お客様の事前期待を掴むには、どうしたら良いのか? この辺りも含めて、今後の「顧客満足向上活動の盲点」でご紹介したいと思います。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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