LCCの苦悩に学ぶ、事前期待のマネジメント

画像: Martin Abegglen

2012.06.21

経営・マネジメント

LCCの苦悩に学ぶ、事前期待のマネジメント

松井 拓己
松井サービスコンサルティング 代表

LCCへの注目度が高まる中、「このレベルのサービスまでしか提供できません」という内容のスカイマークスター・サービスコンセプトが波紋を呼んでいます。スカイマーク・サービスコンセプトから垣間見えるLCCの苦悩から、サービスの視点で学ぶべきことは何なのでしょうか?

日本のLCC元年の今年、3月にPeach(ピーチ・アビエーション)が、7月・8月にはジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンが就航開始となり、LCCへの注目度は高まる一方です。そんな中、「このレベルのサービスまでしか提供できません」という内容のスカイマーク・サービスコンセプトが波紋を呼んでいます。そこで今回は、スカイマーク・サービスコンセプトから垣間見えるLCCの苦悩から、「サービスの視点で学ぶべきことは何か」について考えてみたいと思います。

■サービスへの期待と実情とのギャップ

 LCCでは料金を安価に抑えるために、様々なコスト削減の工夫がされています。例えば、サービスは絞り込んで単純化して、その他のサービスを無くしたり有料化しています。また、機内の座席数を多くするために座席が狭くなっているなど、ここで紹介しきれないほどたくさんあります。その工夫の積み重ねの結果、コストは一般的な航空サービスの半分程度に抑えられているようです。

 すると当然ながら、一般的な航空サービスでは当たり前のサービスがLCCでは受けられないというギャップが生じます。具体的には、こんな状況が想定されます。お客様はLCCに対しても、一般的な航空サービスが提供する様なハイレベルなサービスを期待してしまっている。しかしLCCではコスト構造上、そこまでハイレベルなサービスは提供できない。その結果、利用頂いたお客様にガッカリされてしまったり、クレームを頂いてしまい、お客様を失ってしまう恐れがある。

 この「サービスへのお客様の期待と実情とのギャップ」これをいかに埋めるかがLCCの大きな課題のひとつなのではないでしょうか。そこで一般的に行われるのが「サービスレベルを上げる」ということですが、LCCの場合はそこに時間やコストがあまりかけられない、というのが難点です。そこで先述したスカイマーク・サービスコンセプトでは、事前にお客様に情報提供をすることでサービスレベルについて理解・納得頂くことを狙って搭載されたのではないかと思います。

 ここから、サービスにおいて学ぶべき点は、お客様に満足して頂くために「事前期待をマネジメントする」ということです。それでは、なぜ「事前期待」に注目するのか?「事前期待のマネジメント」とは何なのか?サービスサイエンスの視点で順に見ていきたいと思います。

■お客様に満足頂くために注目すべきは「事前期待」

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング 代表

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。 代表著書:日本の優れたサービス~選ばれ続ける6つのポイント~

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