組織におけるマネジメントの役割

2012.11.13

組織・人材

組織におけるマネジメントの役割

今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長

組織の力を上げていくことがマネジメントの大きな役割である。

経営の神様と謳われたドラッカーは、名著「マネジメント」で、
マネジメントの定義を次の3つで説明した。

(1)自らの組織に特有の目的とミッションを果たす
(2)仕事を生産的なものとし、働く人たちに成果を上げさせる
(3)自らが社会に与えるインパクトを処理するとともに、社会的な貢献を行う

2人以上の人間が集まった時、そこに組織が誕生するわけであるが、
最小単位の2人であれ、10人であれ、1万人になればなおさらのこと、
ただ集まるだけでは、集団の総員の力が総和として発揮されることはなく、
むしろせいぜい6掛け7掛けどまりに減退してしまう。

人は育った環境が違い、考え方と価値観が違う中で、思い思いの行動を取り始め、
大いなる無駄も生じることとなるか、収拾のつかない事態になることもある。

集まっただけで力が減退していくのでは、いわゆる烏合の衆となってしまうが、
そうならないように、最低でも集団の人数分の力を発揮するか、
願わくばそれが1.5倍、2倍、3倍の発揮となるように、
組織の力を上げていくことがマネジメントの大きな役割である。

マネジメントの役割が、よくオーケストラの指揮者に例えられることがある。
各パートの力量がどんなにあったとしても、曲全体の方針を決め、
その方針のもとで全体を指揮することがなければ、そこそこの曲にはなっても、
人を感動させる演奏は難しい。

比喩としては分かりやすいものであると考えるが、
企業の組織とオーケストラの指揮者の大きな違いは、オーケストラで言えば、
作曲(商品開発)にも、楽団員(奏者)の一からの教育(社員教育)にも、
楽団の運営資金(財務・経理)にも、演奏する機会創出(マーケティング・営業)にも、
全て精通し責任を持たなくてはいけないという点である。

地方のオーケストラの指揮者で、相当な守備範囲で活躍されている方が
いらっしゃると聞いたことがあるが、一般的には非常に少ない例だろう。

このように考えていくと、マネジメントには、非常に広い守備範囲をカバーする視野と、
状況把握力と、方針立案力と、指導力と・・・非常にマルチな能力が問われる立場と言える。

そうした能力を備えた人材は非常に希少な存在であり、発掘も難しく、育成も極めて難しい。
よく管理職はスペシャリストではなく、ゼネラリストであると言われるが、
実は末者リストである。

その立場の者を安易に選んではならないし、能力を見極めて選ぶことと、
計画的に育てる発想が必要なのである。

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今野 誠一

今野 誠一

株式会社マングローブ 代表取締役社長

組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。

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