企業風土と企業文化の違いを知る

2013.01.22

組織・人材

企業風土と企業文化の違いを知る

今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長

企業風土や企業文化といった目に見えないもの、仕事や人を取り巻く環境や空気のようなものをも マネジメントしていく時代だと言われて久しい。 企業風土も企業文化も、会社内の雰囲気といった意味合いで混同して使われているように思う。 以下に、自分なりの定義を試みてみたい。

仕事のサイクルを上手に回していくことを考えるだけではなく、
企業風土や企業文化といった目に見えないもの、仕事や人を取り巻く環境や空気のようなものをも
マネジメントしていく時代だと言われて久しい。
文字通り目に見えないだけに、なかなか決定打が見出せず四苦八苦している経営者が多いのが実情である。

そもそも、企業風土と企業文化という言葉の定義すら曖昧である。
企業風土も企業文化も、会社内の雰囲気といった意味合いで混同して使われているように思う。

以下に、自分なりの定義を試みてみたい。

「企業風土」とは?
職場の人間関係のあり方、職場の温度といった、社員一人ひとりから見た労働環境のこと。
職場の人間関係とは、いわゆる風通しといった上下の意思疎通の取り易さや、
誉める叱るなどのコミュニケーションの傾向のことであり、
職場の温度とは、挑戦的な目標に自律的に挑んでいるか否かといったような
仕事に取り組む姿勢の共通点のことである。

「企業文化」とは?
企業が継続的に業績を上げていくための、経営戦略の実行の仕方や、
目的達成のためのプロセス上の各種のルールやしきたりのこと。
中長期の計画があるのかないのか。
PDCAの回し方がしっかりしているのかそうではないのか。
目標の立て方がトップダウンであるのか、ボトムアップであるのか。
目標の達成状況や業務の進捗確認のための会議の仕方はどうか?
等々。

このように分けて考えると、企業風土は社員のやる気やエネルギーに影響を与えることができるが、
業績を上げる方法に直接影響を与えるものではない。

一方、企業文化は仕事の仕方に直接影響を与えるものであり、どんなに風土が良くても、
業績の上げ方とも言える文化を作りあげなければ業績を上げることにはつながらないのである。

風通しがよく、家族的で和気あいあいとしていて、社員のやる気が高いのに業績が伴わない
という企業があるとすれば、それは企業風土づくりには成功しているが、
企業文化づくりには意識が低いということになる。

言い方を変えれば、
企業風土づくりは社員のやる気やエネルギーを上げる方法を考え実行する活動であり、
企業文化づくりは、順調に成果を上げるための方法を考え実行する活動である。

企業が趣味を同じくする人が集まる同好会などではなく、
あくまでも社会に価値を提供して利潤を上げるために人が集まっているところと考えると、
まずは意志を持って「企業文化」を作り上げ、その後それを強化する意味合いで
企業風土づくりに取り組むことが順番として正しいということを知らなければならないのだ。

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今野 誠一

今野 誠一

株式会社マングローブ 代表取締役社長

組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。

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