将棋界では、なぜ多様な人材が育ってくるのか?

2012.05.14

組織・人材

将棋界では、なぜ多様な人材が育ってくるのか?

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

羽生善治二冠が一般には突出して有名だが、将棋界は、羽生二冠以外にもたくさんの個性的で才能あふれる棋士を輩出し続けている。

三つ目は、「研究会」と言われる勉強会が、多く存在していることである。

棋士たちは、基本的には、勝負の世界のライバル同士。勝つために、進化していく定跡や誰がどう指したという情報を仕入れ、研究を重ねた上で次回の対局に備える。本来であれば、いつか対局するかもしれない相手に手の内は見せたくないはず。そう考えれば、研究会など成立しないと思うのだが、実際にはかなり盛んに行われている。

これは恐らく、目の前の勝ち負けより、「強くなる」ことを目的にしているからではないかと思う。自分の知識を隠したまま目の前の相手に勝利するよりも、研究会で披露して皆にもんでもらい、切磋琢磨するほうが、自分の将来にとって良いと考えているのではないかと想像する。

会社は何も言っていないのに、何人かが集まって、テーマを持って勉強を続けている。仕事上の成功や失敗を共有して、そこから何か学ぼうとする人達のグループがいくつもある。こんな会社があったら、素晴らしい。しかしながら現状では、会社が用意した研修を社員に無理やり受けさせているとか、上司に言われて初めて皆で仕事上の経験を披露・共有するといった組織が圧倒的に多い。

それは目的や向上心の差で、勝負の世界と企業組織とは違うと言われそうだが、そうは言わずに、『自主的に学ぶ、インフォーマルなグループが出来てくる』ための仕掛けを検討してみてはどうかと思う。

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NPO法人・老いの工学研究所 理事長

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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