普通の企業は、社員研修にいくら使っているか?

2012.04.04

組織・人材

普通の企業は、社員研修にいくら使っているか?

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

経費削減と言えば、交際費や広告費がその対象となるのはよく知られているが、さて研修費は実際にどうようになっているのだろうか。

研修会社をやっていて、非常によく聞かれる質問の一つに「これだけ景気が悪いと、研修をする企業も減っているんですか?」というものがある。収益が上がらない中で、企業が経費削減に走ると、研修費もその対象になりますよね、という趣旨の質問だ。経費削減と言えば、交際費や広告費がその対象となるのはよく知られているが、さて研修費は実際にどうようになっているのだろうか。

産労総合研究所が、毎年発表している「教育研修費用の実態調査」によると、企業が従業員一人当たりにかける教育研修費用は、2008年から2010年まで、43,524円→34,633円→40,354円と推移している。

景気が良かったときはどうだったかというと、同じ調査で最も研修費が多かった1991年(バブルの最終年)が43,217円。増減はあるものの、1987年に初めて3万円を超えてからは、2010年まで3万円台の半ば~4万円台の前半で推移している。

意外に思う方も多いかもしれないが、研修費は景気によってそう大きく増減しない、経費削減の対象には入りにくい費用と言えそうだ。私もリーマンショックの際は、さすがに研修の仕事が相当落ち込むのでは・・・と内心ヒヤヒヤしていたが、そうでもなかったのが現実。

ほとんどの研修は、今期の業績のためにやるのではなく、人材育成や組織の活性化といった先々の成長のために実施するもので、“削減可能な費用”というよりは“欠いてはいけない投資”という見方が多いのかもしれない。

「1人3~4万円は安い」と言う経営者もいる。「月30万円の給与を払うと、会社負担の社会保険料として毎月4万円超を収めないといけないが、その程度の額だ。」と言う。また、社員旅行をすれば1回で1人3~4万円はかかるし、社員旅行を嫌がる人も増えたので、それならそれを研修に使おうという社長もいる。他にも、好決算が見えてきて、税金で持っていかれるより何かに使いたいと考え、お金で配分して終わりにするより、気になっていた組織面の問題解決をと研修に費やした社長もいた。

私は、企業の研修予算はこれから上昇傾向になると予想する。一つには、外国人の雇用や海外進出が進んでいくと、外国の習慣や文化を理解することや、外国人との相互理解といった新たな学ぶべき課題が出てくること。二つ目は、年金の支給開始年齢の引き上げとともに定年延長が進み、組織内の年齢差が最大50歳近く(65歳のベテランと18歳の新人)まで開くと、マネジメントに関する悩みが大きくなってくると考えられること。

三つ目は、定型作業がさらにIT化されたり賃金の低い新興国に移っていったりすると、高付加価値の仕事が求められるようになり、それには、これまでのような学習姿勢・意欲では難しいことである。とは言え、研修費だけを増やし続けることは出来ない。どのようなポリシーで予算の配分を見直し、戦略的な育成投資に振り向けるか。それが問われている。

組織人事・社員研修のことならイニシアチブ・パートナーズ

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。

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