営業マン、指南書は原点に還ること

2012.03.13

開発秘話

営業マン、指南書は原点に還ること

喜田 真弓

この3月でアシストは創業40年を迎える。アメリカ人、ビル・トッテンが市場調査のためにやってきて、これからの日本は既製のコンピュータ・ソフトウェアの大きな市場になるという可能性を見出して起業してからまさにそのとおりとなり、40年間日本企業のためにビジネス・ソフトウェアを提供してきた。

創業者であるトッテンは今年、会長に退き、長年トッテンの片腕となって営業と経営に携わってきた大塚辰男が社長に就任した。創業者の後を引き継ぐのは生半可なプレッシャーではない。ましてやカリスマ性があるうえに、理屈だけでなく誰よりも率先して実践するリーダーの後任である。大塚は、まずは基本理念を全社に浸透させるプロジェクトに着手した。

基本理念とは、創業して最初の10年が過ぎた時に作られた「哲学と信念」という文書である。
それはトッテンが、会社の可能性、哲学、歴史、価値観、基本的な信念、目標を社員に示すためにドラフトを作り、それを役員たちと再び議論したあと、全社員にも読ませて意見を組み入れ、編集し直してできあがった企業理念である。これを全社員にもう一度読ませることで改めて社員一人ひとりにそのマインドを根付かせる、「みんなの哲信」というプロジェクトだ。

しかしこのプロジェクトが立ち上がる以前から、「哲学と信念」を読み返すことを習慣としている営業マンが土谷である。

「毎年、年度始めに必ずすることが2つあります。1つは、市ヶ谷(本社)勤務になってからですが、靖国神社に初詣に行き、巨大絵馬の写メをとること。これはお客様への年始のご挨拶メールにも添付して利用しています。そして2つ目は「哲学と信念」を読むことです。これが年初の習慣になっています。これによって改めて、今年もこの精神で行くぞ、と思いながら読んでいます。またこれ以外にも、年に数回ですが、時間に余裕ができた時などお客様の立場からアシストのホームページに入り、哲学と信念のサイトを見ることもあります。例えは悪いかもしれませんが、ふと気に留めた時にキリスト教信者が聖書を読む感じでしょうか?」

特に、悩みがあるから解決方法を見つけるために読むというわけではない。何気ない時に目を通していることが多いのだと土谷は言う。

「具体的に、この部分を読んだから“これ”、というのはないです。ただこうして無意識のなかに落とし込むことを習慣的に行っていることで、自分で行動する時、または部下から相談された時など、自然と“お客様は何を求めているのだろう?”、“お客様は何に困っているのだろう?”という、お客様起点で考えることが自然と身についている気がします」

土谷はアシストに入社する以前も広告代理店やソフトウェア・パッケージ商社で営業を経験していた。前職の商社で転職を考えていたころ、エージェントを通してアシストを紹介され、当時社員数が500名という規模感と雰囲気にひかれて入社を決めたという。

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