管理職の評価基準は、コロコロ変える方がよい。

2011.06.27

組織・人材

管理職の評価基準は、コロコロ変える方がよい。

川口 雅裕
組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

イノベーションが起こらないのは、管理職に求められることが変わらなさ過ぎるからである。

“優しい人”は、管理職として評価されやすい。部下の言動や仕事の結果に対して寛容であるし、各々の仕事の状況などに配慮して仕事量を調節し、できる範囲の納期を設定してくれる。前例や慣習やルールにないような発想・取り組み・進め方を発表して、混乱を招くようなことはしない。メンバーが安心し、秩序ある仕事ができるように組織を運営しているのだから、たいていの場合、良い評価がなされる。

“楽しい人”も、管理職として評価されやすい。自ら盛り上げたり、部下の言動に対する反応が絶妙であったりして、部署が和やかで楽しい雰囲気になっている。他部署や経営幹部に対して、フレンドリーなイイ雰囲気で会話をしていて多くの人に好かれている。周囲とは異なる主張を述べて、軋轢を起こしたり、雰囲気を悪くしてしまったりはしない。こうして皆からの好感を得ているのだから、たいていの場合、良い評価がなされる。

“しっかりした人”も、管理職として評価されやすい。新しい情報や企画がある、何か提案が持ち込まれたときには、リスクを検証し、ミスや失敗をしてしまわないようにしてくれる。独断や先行、試みや挑戦は視野にもなく、関係者全員と漏れなく入念に打ち合わせ、上司にも細部まで了解をとりつけた上で丁寧に実行する。上からも周囲からも部下からも安心に感じるし、失敗しないので、たいていの場合は良い評価がなされる。

『評価基準』的な記述をすれば、「部下への目配りや配慮ができる」「各々の業務の状況を踏まえて安定した組織運営ができる」、「社内に広く人望がある」「誰とでも活き活きと、自然体でコミュニケーションがとれる」「リスクを見通しながら、検討・実行できる」「関係者に、必要十分な報連相を行っている」といったことになる。

もちろんこれらの観点から、よい評価をすることに異論はない。が、今、多くの企業に求められているのは、非連続の試み、変革や挑戦や創意工夫である。だから、これらの評価が、イノベーションにつながるような能力や言動に優先してはいけない。優しく、楽しく、しっかりした管理職が評価されることは構わないが、そのような人達が(現実によく見ることだが)、イノベーションの芽を摘み、機運を抑え込んで(悪気がないのが、余計に悲しいのであるが・・・)しまっているのであり、そんな観点の評価は二の次、三の次であるべきだ。

大切なことは、経営の優先課題を管理職の評価の観点と一致させることである。評価基準はコロコロ変えるべきではない、管理職のあるべき姿を定めてしまっているという声が聞こえてきそうであるが、管理職の何を評価するかが、その時々の経営課題と乖離している状態で、誰が経営課題を力強く推進していくのであろうか。

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川口 雅裕

組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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