行政はエコ商品のPR、販促から次のステップへ進むべき

2010.07.29

経営・マネジメント

行政はエコ商品のPR、販促から次のステップへ進むべき

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

環境省は6月からマイボトル・マイカップの普及促進のキャンペーンを実施しています。 このキャンペーンの取組の柱は、(1)キャンペーンウェブサイト (2)イベント (3)実証実験の3つですが、国がわざわざ税金を使って特定企業、特定商品の販促PRを今更行う必要があるのかという所に疑問を呈します。

一方で、こんな研究成果も報告されています。東京大学中谷隼助教によると「ある企業のポリエステル製エコバックをLCA分析したところ、レジ袋1枚に比べて、約50倍のCO2を排出すると推定できた」とのことです。中谷助教は「環境博覧会などで何枚もエコバックを受け取るのは、レジ袋を何百枚も受け取ることと同じになる可能性がある」と述べています。(出所:ECOマネジメント 同上)

何という残念なことでしょうか。個々人、個々の企業が良かれと思ってやっていることが、ちょっと配慮が足りず、安易に考えてやっているが故に、結果として、環境負荷の増加につながっている。

LCA分析はあらゆる原材料に遡ってその製品の製造・輸送・廃棄に至るまでの使用エネルギー、環境負荷のデータを積み上げる作業が故に、新製品が出るたびに実施するのは非常に難しいものです。

一方で、消費者にすれば、「これをx回使えば、本当の環境負荷低減になります」という目安を提示してもらえれば、それがモチベーションとなって、言われた以上の回数を使う人が、特にエコグッズを求める人は善意でそれを求めているが故に、多いと考えられます。

我われ企業の環境製品のマーケティング・PRの方法も、こうした消費者の善意を無にしないよう、単に「エコ」「地球にやさしい」というイメージ主体のものから、具体的な効果、根拠に基づくものへシフトしていく必要があります。そうすることによって、事実無根の粗悪な商品、企業を排除していくことにつながっていくと考えられます。

国や行政が環境経営を支援するにあたっては、特定商品、特定企業への補助金や販促支援など民間企業やボランティアでもできてしまうではなく、消費者個々人、個々の企業が、正しい意思決定をするための情報、インフラの整備という国や行政機関でしかできない難問の解決に施策のウェイトをシフトすべきと考えます。

中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長

調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、調達・購買活動から環境経営に貢献する方法は数多くあると、環境負荷を低減する商品・サービスの開発やそれを支える優良なサプライヤの紹介など環境調達に関する情報発信活動を行っている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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