期待も投資もしなければ良い仕事がされる筈がない

2010.07.13

経営・マネジメント

期待も投資もしなければ良い仕事がされる筈がない

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

弊社では、この度、日本の調達・購買業務の現状と課題を明らかにする調査を行い、結果を「2010年ストラテジックソーシングベンチマーキング調査結果」として先週発表しました。 調査結果につきましては、発表資料をご覧になって頂ければと存じますが、今回は、この調査から得られた日本の調達・購買をめぐる最大の問題をえぐり出します。

率直に申し上げて、日本の調達・購買業務は予想以上に遅れている、そして、悪い状況にあるというのが、今回の調査を実施しての実感です。

こうしたことは、今までのお客様とのコミュニケーションで薄々は感じていましたが、ここまで悪いとは思っておらず、今回の調査で数字としてはっきり感じることができました。たとえば、日本における調達・購買機能の全体的な特徴が、全項目の平均がベストプラクティスの5に対して2.6、I. 全社的な調達戦略と調達機能の確保が2.6、II. 材別の調達戦略の立案・実行力が2.7、III.調達の成果を上げるための手法が2.6、IV.IT・ツールの活用が2.3と、どの領域においても多くの企業がまだまだやるべきことがあると認識していること、特に、IT・ツールの活用が調達・購買業務で進んでいないことが明らかとなっています。

こうしたファインディングの中でも最大かつ弊社でも驚きであったものは、

マネジメントに調達・購買業務の本質、重要性が理解されておらず、この断然が埋まらない限り、日本の組織的な調達・購買機能、調達・購買力は改善しない

という点です。当然、こうした断絶がある企業では、コスト低減も経営者が思うように進むはずがありません。

今回の調査では、以下の幾つかのファインディングから、上記のような結論に至りました。

■コストセンターと認識されパフォーマンス管理が不十分

本調査で調達担当者一人当たり年平均案件数を調査したところ、こうしたデータを調べたことがないという回答が28名中3名、未回答が6名と、かなりの企業で一人一人の調達担当者のパフォーマンス、生産性を把握していないことが伺えます。これは、スコアカード回答の全体の平均でも「調達・購買部門の生産性の管理」が1.84と2番目に低い項目であったことからも明らかです。

■調達に必要な人員の手当不足

調達担当者一人当たり年平均案件数は全体の平均で1029件、この数字が1000件以上の企業は26社中6社となりました。これは、年間の稼動日を240日とすると、仕様の確認・確定に始まり、調達案件戦略の策定、新規サプライヤの開拓、サプライヤからの提案書、見積書の査定、契約書の締結などの一連の調達業務を毎日4件行わなければならないということになり、とても不可能な数字です。未回答の9名の企業でも調達担当者が数えられない位、多くの調達案件を抱えていることが予想され、恐らく、このような環境に置かれては、調達というよりは、発注に近い形で購買要求をそのまま所定の取引先に流すしかないという状況に調達・購買部門が追い込まれていることが伺えます。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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