上司をマネジメントする〈2〉~フォロワーシップという考え方

2010.04.26

仕事術

上司をマネジメントする〈2〉~フォロワーシップという考え方

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「ナポレオンはなぜ偉大なリーダーになりえたか?」―――リーダーシップの対にある概念を考え入れると、「部下力」ということがみえてくる

【「模範的」フォロワー】 (Exemplary Follower) 
独自の基準や価値判断で思考し、上司にも積極的にはたらきかけをするタイプです。
この手のタイプが上司マネジメントの能力も優れていて、
将来はみずからも優れたリーダーになっていく可能性が高いといえます。
組織の中では「ホープ」「エース」的な存在かもしれません。

【「孤立型」フォロワー】 (Alienated Follower) 
自分独自の冷めた思考が要因となって、
上司へのはたらきかけをあまりしないタイプです。
いわゆるアウトロー、批評家タイプの部下がこれにあたります。

【「消極的」フォロワー】 (Passive Follower) 
みずからの視点で考えることをせず、
また上司に対しても積極的にはたらきかけていくわけでもなく、
言われた分だけ「ま、やるか」というタイプです。
事なかれ主義の部下といっていいでしょう。

【「順応型」フォロワー】 (Conformist Follower) 
上司から言われたことを無批判に受け入れながら、積極的に動くタイプで、
いわゆる「太鼓持ち」「ゴマすり」がこれに当たります。

【「実務型」フォロワー】 (Pragmatic Follower)
上の4つのタイプの中庸をいき、
組織内での生き残りをしたたかに考える現実派タイプとなります。

◆志の高いゴマすり・志の低いゴマすり
神戸大学の金井壽宏教授は、『ハッピー社員』(プレジデント社)の中で、
フォロワーシップを「悪玉」と「善玉」に分けて説明しています。

「悪玉フォロワーシップとは、簡単に言うと、『志の低いゴマすり』のこと。
私利私欲のためだけに働くタイプが取る行動だ。
常に自分の立場、自分の仕事成績のことだけを考えていて、
そのため『便宜的に』権威者にゴマをするというフォロワーシップなのである。
(中略)
一方、善玉フォロワーシップとは、上司の示すミッションに共鳴し、
かつそのミッションを果たすことが会社の利益になることを納得し、
『喜んで』上司に仕えるというフォロワーシップのこと。
これもゴマすりの一種だとしても、『志の高いゴマすり』であり、
推進力、実現力を発揮するための一つのスキルである」。

* * * * *

私たちは上司をつかまえて、
―――「あの人にはリーダーシップがない」と簡単に批評はできます。

では今度、――― 「自分には優れたフォロワーシップがあるだろうか?」
と自問してみてください。

もし、胸にズキンときたら、きょうから「志の高いゴマすり」、
すなわち、いかに部下として優れたフォローができるかを考えてみてください。
それが上司をマネジメントすることにもつながってきます。
あなたが優れたフォロワーになることができれば、
私はそれを名づけて「賢従者」と呼びたいと思います。
(ちなみにそれに反対であれば「愚従者」と呼びます)

*本シリーズ記事の詳細議論は、拙著『上司をマネジメント』を参照ください。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

フォロー フォローして村山 昇の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。