上司をマネジメントする〈6〉~「聞き上手」は3つの力

2010.05.22

仕事術

上司をマネジメントする〈6〉~「聞き上手」は3つの力

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

部下は決して上司を説き伏せてやろうとか、考えを改めさせてやろうなどと挑んではいけません。賢い部下は「聞く」ことで上司を結果的に動かすのです。


◆上司の中にヒントを聞く ~「観察力」「読解力」「設問力」
 部下にとって、上司とのコミュニケーションは「聞くこと」が基本です。
 十分に「聞く」ことなしに、事を早急に片付けようと、上司を説き伏せようとか、考えを改めさせてやろうなどと挑んではいけません。結果的に遠回りになったり、事がねじれたりすることが往々にして起こりえます。上司のことをよく「聞く」ことで、彼(女)の言動や素振り、習慣の中に最適方法や近道、説得へのヒントが見えてきます。部下は「聞き上手」でなくてはならないのです。

 さて、私がここで使っている「聞く」ということは、非常に広い意味で使っています。上司の傾向性を「察する」、上司の仕事のクセを「観る」、上司の判断を「推測する」など、五感六感をフルにはたらかせて、上司を「感じ取る」ことを言っています。上司マネジメントにおいて、聞き上手であるためには、次の三つの力が重要です。それはつまり、

 ・「観察力」
 ・「読解力」
 ・「設問力」
   です。

◆観察力を磨いて上司に「チューニング」する
 部下は、上司の仕事スタイルや行動特性、志向性などがどういう特徴をもっているのか、それを日ごろから観察して、把握しておく必要があります。これは、部下が上司にいわば「チューニング」を施すために重要なことです。
 上司へのチューニングがずれていると、簡単に承認されるはずの案件もされずじまいに終わったり、いい企画案も差し戻しを受けたり、コミュニケーションで誤解を生じさせてしまうことが多くなったりします。上司は無意識ですが、自分の波長に合うスタイル、方法で接してこられることを要求しているのです。そのために、部下は「観察力」を磨かねばなりません。

 ・上司の状態のいいとき・悪いときのしぐさを探る
 ・上司の強み・弱みを察する
 ・どんな仕事スタイルを好むか
  (データ重視か、感覚・ひらめき重視か、政治力重視かなど)
 ・どんなコミュニケーションスタイルを好むか
  (文書派か、口頭派かなど)
 ・どんなワークスタイルを好むか
  (研究調査系か、体育会系か)
 ・上司の価値観、仕事美学・人生美学、ポリシーを聞き出す
 ・部下が何をすれば喜ぶか、頼もしく思うかを常に考える
 ・上司はどんな行動に対して嫌悪感を抱くかを感じ取る
 ・上司という人間を複眼で観る
  (部下の眼、上司の上司の眼、友人の眼、親の眼など立場を変えて観る)

次のページ自分をより受け入れてもらいやすくするためのものなのです。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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