古今東西の経営書で、「戦うな、ブルーオーシャンを目指せ、オンリーワンを目指せ」ということが戦略上大切なこと、と言われ続けています。果してB2Bのマーケットでもブルーオーシャンを目指すことが正しい方向なのでしょうか?
歴史的に有名な戦略書の「孫子の兵法」では、「最高の戦略は戦わずして勝つこと」と書かれています。また、著名な経営学者であるハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授は著書「競争の戦略」の中で、3つの基本戦略の1つとして「差別化戦略」をあげました。2005年に出版された「ブルーオーシャン戦略」では、競争自体を無意味なものにする「ブルーオーシャン」を創造することが、熾烈な競争環境を生きる企業が繁栄しつづけるための唯一の方法、と述べられています。
このように、古今東西の経営書で、「戦うな、ブルーオーシャンを目指せ、オンリーワンを目指せ」ということが戦略上大切なこと、と言われ続けました。
本当に、それが正しいことなのでしょうか?
前回の私のメルマガ「起業苦楽記」の中で、起業を成功させるためのコツとして、「成功のためには能力(体力も含む)3割、運3割です。そして最後の4割は「時流(波)に乗る」こと、と述べました。「時流(波)に乗る」ことは、とても重要なことです。そういう意味で、真っ赤なレッドオーシャンに入って勝負することは目指すべきではないですが、全くのブルーオーシャンで勝負することには、リスクも伴うのではないか、と考えます。
ブルーオーシャンは、マーケット自体が、未だ確立されていない、ということです。そういう意味で、そもそも市場がない、というリスクが伴います。
私は20数年前に調達購買のBPO事業を、立上げるために起業しましたが、その当時は、時期的にまだ早く、市場創造の時期ではなかったことを実感しました。特に、B2Bマーケットでは、ある程度市場やサービスが確立していない限り、企業が良いと感じても、モノやサービスの購入(導入)の意思決定には至りません。
「時流(波)に乗り」市場を創出するためには、ある程度の大きさの資本や人材、スキル、仕組みなどがないと、難しいのです。それを自身の起業経験から、実感しました。こういう点から、ブルーオーシャンも失敗につながるリスクもあります。
先日、私の尊敬するMr.Zが、自身のメルマガ「ニッポン製造業とグローバル調達最前線」で以下のことを書かれていました。ttps://www.mag2.com/m/0001697307
『賃加工業者が目指すべきは、知見のない不得意なセットメーカの領域に進出することではない。また、俗にいう“オンリーワン”(他社にできない加工やその加工技術)を磨くことでもない。目指すべきことは、汎用的な加工を競合他社が真似できないほどの突出した効率で加工する技術である。』
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。
