『ゴミ屋敷』問題は、奇人による奇行で済ませて良いのか?

2009.12.06

ライフ・ソーシャル

『ゴミ屋敷』問題は、奇人による奇行で済ませて良いのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

国土交通省が今年1~2月、全国の自治体に住民が直面している生活環境の問題点についてアンケートしたところ、250市区町村が「ごみ屋敷」に悩まされていることが明らかになった。 やっと、日本も「ゴミ屋敷」問題に本腰を入れるつもりのようだが・・・果たして・・・?

ゴミ屋敷解決専門店・日本撤去株式会社の平成18年度の売上げは2億円。たった3年で3倍強の売上げアップを果たしている。また、遺品整理会社・キーパーズは、創業から7年。わずか300万円で始めた会社は、高齢化や都市化といった世相を反映し、いまでは全国4支店、年商4億5000万円まで成長している。年間の取扱数は約1800件。うち9割が孤独死した人の遺族からの依頼だという。

日本には、「捨てられない」問題が年々山積みになって、腐臭を漂わせている。

NHK総合テレビのドキュメンタリー番組「追跡!AtoZ」では、「なぜ増える?“ゴミ屋敷”トラブル」と題した報道が2009年11月21日に放映された。そこには、誰もがゴミ屋敷の主になりうる現実を映し出していた。

そこで気になったのは、「ゴミマンション」とか「ゴミアパート」のような、『見えないゴミ屋敷』が急増している点である。500世帯あれば2~3件は必ずあるという処理業者の言葉を信じるのであれば・・・少なくとも0.4%の確率で『見えないゴミ屋敷』は、存在しているわけである。

ちなみに、WHOの報告によれば、自殺未遂者は自殺者の 10 倍以上との推定がある。・・・ということは、日本の2008年の自殺者数は3万2249人だから、約33万人の自殺未遂者がいる。15歳以上の人口から割り出すと0.3%の確率で『死にたくても死ねない人達』は、存在しているわけである。

『見えないゴミ屋敷』は、ある意味で、一般社会からの自殺未遂のようなものだ。だから、同じような確率で出現してくる。

前述のドキュメンタリー番組では、ゴミ屋敷問題に取り組む自治体の関係者が「ゴミを撤去しても、ゴミ屋敷に逆戻りしてしまうケースが多く、撤去するだけでは解決にならない。地域や家族の絆を取り戻す以外にない。」と語り、ゴミ屋敷問題は、地域や家族の崩壊、高齢化、孤立など、変容する日本社会の現実を反映していると指摘している。

この「ゴミ屋敷」問題に、国が実態調査をして、対策を練るのは良いことだ。しかし、その目的が解せない。「追跡!AtoZ」鎌田靖のキャスター日記では、国土交通省の調査の目的を下記のように語っている。
「少子高齢化が進む中、各地で空き地や空き家、耕作放棄地が増え、その結果治安の悪化、景観の悪化、不動産価値の低下などがおきている。これは経済にとって大きなマイナスなので対策をとらなければならないとしています。その要因のひとつがゴミ屋敷なのです。」

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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