日本代表岡田監督の話から未来とビジョンを少し考えてみる

2009.10.05

経営・マネジメント

日本代表岡田監督の話から未来とビジョンを少し考えてみる

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

先日、サッカー日本代表の岡田監督がインタビューを受けていました。そこで、サポーターからの質問「ワールドカップベスト4を目指すのは、根拠があって言っているのか、ただの目標か?」という質問がありました。岡田監督の答えはとても面白いものでした。

 岡田監督はなんと言ったかと言いますと

「根拠があるって、どういうことですか?ブラジルがベスト4に入る根拠は?ドイツがベスト4に入る根拠は?そんなもんはどの国にもないんですよ。単なる目標って、ゴールが全てなんですよ?」

 これ、面白いですね。

 「未来に何かが起こる根拠はあるのか?」と読み替えると面白い。

 そして、

 「ゴール設定は、その世界観の下で、どういう意味を持つのか?」と読み替えると面白い。

 結論から言うと、「未来の可能性、いわゆる可能世界は無限にあるので、未来に何かが起こる根拠はない」が学問的に正しい答えです。科学哲学とか、好きな人は「可能世界」で調べてみてください。まあ、パラレルワールドみたいなもんです。

 ただ、私もそうですが、人間はこの世界観を無条件に好まない傾向があるように思います。だって、無数のパラレルワールドが常に開かれていたら、どうしていいかわからなくなると思うのです。

 だからこそ、確固たる価値観が大事になり、それなりの倫理観が大事になるのだと思いますが・・・。

 どんな未来も可能とすると、ちょっと生きるのがしんどくなる人のほうが多いですよね。たまに、世界を素晴らしくできる!と思える人もいますが。その時はその素晴らしいは誰にとって?が大事になりますが・・・。

 で、その無数にある可能世界の中で何を選ぼうとするのか?が意思であり、目標ですね。

 パラレルワールド的に考えれば、その可能世界にどう移行すればいいのか?が論点になります。

 その論点をさらに分けると、サッカーの場合でも、どんな選手、スタッフ、つまりリソースを使うのか?ということと、世界のサッカーの中で、日本はどんなサッカーをするのか?つまりポジショニングのお話しになりますね。

 いわゆるビジョンを規定したら、戦略が必要になるということです。まあ、単一事業の場合でも、複数事業の場合でもこれは同じことですね・・・。

 ビジョンは現状とのパラレルな世界にあっていいんです。パラレルな世界を規定し、その世界の未来から考える、チーム全員がそのパラレルな世界からモノを見れればいいのです。

 まあ、リアルじゃないビジョンは駄目ですよ・・・。お題目的なものも駄目です。経営者がビジョンを作るにしても、自分が心から信じられるようなものであり、かつ、社員に納得してもらえるようなものでないといけませんね。

 こんなビジョンにみんなついてきてくれるだろうか?とか、こういうビジョンには着いて来れないメンバーが出てきますよ、というのは、ある意味でビジョンのリアリティの問題だと思います。

 そのビジョンがリアリティが相当あるのならば、全く相容れない価値観のスタッフは出て行きます。居心地が悪くなりますからね。ただ、上からついて来れないと一方的に判断するのは問題ですけどね・・・。

 ビジョンの部分と戦略の部分にちょっと触れましたが、統合した視点から見ることはこんな感じで可能です。マネジメントも同じ視点からの説明が可能ですが、字数も多くなってきたのでこのあたりで。

 こういったナレッジがあなたのビジネスライフに資することを心から祈ります。
 

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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