仮説構築の技術(7)~「帰納法」の本質を知る

画像: kleuske

2009.04.09

仕事術

仮説構築の技術(7)~「帰納法」の本質を知る

家弓 正彦
株式会社シナプス 代表取締役

今回は帰納法についてです。 以前書いたように、帰納法はいくつかのサンプルとなる情報をもとに、共通するルールを見出して、結論(仮説)を導出する考え方です。

しかし、これが意外と難しいんですよね。
具体的な手法や陥りやすい落とし穴について考えてみます。

■ 一致法/差異法


一般によく用いられるのは、「一致法」です。
サンプルを比較して、共通する部分を考えるだけです。
とてもシンプルですよね。

例えば、株価を例にとって考えてみましょう。

観察事項:「A社とB社、ともに株価が下がっている」

そこで、A社とB社に共通することを考えてみます。
どちらも振興市場に上場するベンチャー企業だとしましょう。

そうすると、
「振興市場に上場しているベンチャーは市場からの評価が下がっている」
という仮説を導き出すことができそうです。

しかし、、、
それだけでは、まだ落とし穴があるんですね。
つまり、振興市場に関わらず、今はどの市場においても
大きく株価は下がっている場合、上記の仮説は正確だとは言えません。

そこで用いたいアプローチは「差異法」です。
今度は、結論が異なるサンプルをチェックすることになります。
「では、一部上場の老舗メーカーC社は?」といった具合です。

そこで「C社の株価は下がっていない」という観察事項が見られると、
確かに「株価を下げているのは振興市場に限られている」のかもしれません。

一致法と差異法をうまく組み合わせることが重要ですね。

■ 帰納法の難しさは「解釈」にある


なんといっても、帰納法の難しさはこの解釈によって、
仮説が大きく異なってしまうというところにあります。

前のブログで書いた「ソクラテス」「プラトン」「アリストテレス」の
事例で考えてみましょう。

この3人の共通項は何か?
そうです!全員「古代ギリシャの天才哲学者」ですね。
ということは、「現代人で、凡人の私は死ぬことはない」のか?(笑)

これは、共通項の見出し方に問題があるわけです。
本来であれば、「同じ人間であること」に着目をしなければならないのですが、
どのレベルの共通項に着目すべきかは、分析者の解釈ひとつで変わります。

「人間」というワクを、より狭めれば「紀元前の人類」という解釈もできるし、
もっと広げれば「あらゆる生命体」という解釈もできます。
何が正しいかは、無限大にサンプルを取らない限り「絶対」ではありません。

視野を拡げたり、絞ったり、、、柔軟な発想と試行錯誤が必要です。

■ 帰納法の応用「傾向を読む」


もう一つ、帰納法の応用として、
複数のサンプルから、その傾向を読むことができるはずです。
これも以前説明したトレンド分析もそのひとつで、
過去からのトレンドが今後も続くことを前提として、
将来予想を行っているわけですね。

これは、定量データをグラフ化してみると傾向を読みやすくなります。
「単純な右肩上がりの傾向なのか?」
「二次曲線を描いているのか?」
ビジュアルで傾向を解釈することは、仮説構築において有効です。

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家弓 正彦

株式会社シナプス 代表取締役

マーケティング戦略を中心としたコンサルティング、マーケティングに特化した教育プログラムの提供を行っています。

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