ビジョナリーハンドブック(1):ビジョナリーのパラドックス

2009.01.07

経営・マネジメント

ビジョナリーハンドブック(1):ビジョナリーのパラドックス

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

ビジョナリーハンドブック(The Visionary's Handbook)は、 「そもそも世の中は矛盾だらけである」 ということを大前提に置いています。 言い換えると、 「この世の中に、絶対的な真理や正解はない」 ということです。

もちろん、「特定の瞬間」や「特定の場所」といった
限定条件付きであれば、

一時的な真理や正解

がありえるかもしれません。

しかし、常に状況・環境が変化し続けているため、
いつでもどこでも、常に通用する真理や正解といったものは
存在しえないのが現実の世界でしょう。

だからこそ、
自分(自社)はこうした前提を踏まえた上で、

状況・環境の変化に応じて最善の選択をし続けること

が必要になってくるわけですね。

さて、ビジョナリーハンドブックが示す

9つのパラドックス(矛盾)

のうち、最初に説明されているのが

「ビジョナリーのパラドックス」

です。

ちなみに、「ビジョナリー」は、日本語では

「先見の人」あるいは「予見の人」

と訳せるでしょうか。

ビジョナリーのパラドックスの第1番目、
それは次のようなものです。

“あなたが描くビジョン(未来像)が、
 より確かな真実(Truth)になればなるほど、
 それは、単に現実の延長で未来を語っているに
 すぎない。”

同書の著者らは、
未来について書かれた本の多くは、

「想像力の失敗作」(failure of imagination)

とこきおろしています。

なぜなら、現在すでに起こりつつある変化を踏まえただけの
ビジョンを語っているに過ぎないことが多いからです。

例えば、世界がネットワークでつながり、
リアルタイムの情報交換ができるようになるというビジョンは、
今日のインターネットの原型である

「ARPANET」

が30年以上も前に構築された瞬間から始まった変化を
敷衍すれば、簡単に予見できたことでした。

こんなビジョンは、未来における変化を見越すという
本来の意味での

「予見」

としてはそれほど価値のあるものではありません。
(私としては、こうしたビジョンも十分に役に立つと
 思いますが・・)

現在の延長線をはみだす多様な未来像を描けてこそ、
真のビジョナリー(先見の人)と呼ぶことができるでしょう。

しかし、これは言うは易し、実際には極めて難しい・・・

もしあなたの予見が確実なものになりつつあったとしたら、
それはもはや予見ではなく、現実に起こりつつある変化を
語っているにすぎないという認識が必要でしょう。

では、2つめのビジョナリーのパラドックスを紹介しましょう。

これは、「イノベーション」への取り組みの難しさを
説明しているものだと言えます。

“あなたが未来をより正しく予測できるようになればなるほど、
 さまざまな面で、現在(の経営)を不安定にさせていく”

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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