「ぎっこんばったん化」する社会

2009.01.05

ライフ・ソーシャル

「ぎっこんばったん化」する社会

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

最近、世の中があっちへ大振れ、こっちへ大振れする 。歴史的にみても、社会がシーソー化するのは悪い予兆。2009年以降の新秩序には、一個一個の人間の意志的楽観主義が必要だと思います。

◆メディアもぎっこんばったん
もうひとつ大振れするものを加えておくなら、それは「メディア」です。

本来、メディアは(それがマスであればあるほど)その世の中への影響力から
力強い良識の下のバランス感覚が求められるものですが、
どうも、ここもぎっこんばったんしている。

私は、20代から30代にかけて7年間、
あるマスメディアで経済記者として働きました。

入社時はおりしもバブル経済まっさかりの1989年。
いろいろと景気のいい話をバンバン書きました。
何が売れてる、これが売れてる、ヒットの秘訣はどうだこうだと記事を量産しました。

ところが、バブルがはじけて、一転、
今度は誰が悪い、彼が悪い、失敗の研究などを記事化しました。

・・・そうこうしているうちに、気づいたのです。
「あぁ、俺のやっていることは、所詮、世の中の表層を文字にしているにすぎない」。
「ましてや、それを強調して書かないことには記事として読まれない。
だから大げさに書かねばならない。俺の職業は、中身のない拡声器だ」と。
そして、会社側もそれをいっこうに省みようとしない。

私は自分がやっていることの無意味さ加減に辟易して、そこをすっぱり退職しました。
(その後、教育系の出版社に転職して道を変えました)

2005年のライブドア事件の前後においても、
当初、ホリエモン(堀江氏)をさんざん持ち上げておいて、
次にはさんざんこき下ろすということが起こったとき、
「あぁ、メディア業界は変わってないのだなぁ」と改めて思いました。

そして、現況の金融危機問題、そして派遣切り問題などをみても、
メディアの伝え方は明らかにバランスを欠き、
正義感っぽいセンチメンタリズムに浸って報道するだけで、
本質を浮き彫りにできないでいる。
おそらく、次の展開になったときに、メディアはそっち方面を偏った形でどーっと報じ、
さらには全く別の大事件が起きたら、
もうこっちの問題は置き去りにして、以降は何も触れなくなる。
たぶん、そんな動きになるのでしょう。

◆雪崩的に感情世論を形成するネットメディア
さらに、メディアの中で危うい力を持ってきたのが、
「ネット書き込み」という名のメディアです。

これはひとつのメディア機関・企業というより、個々の声の集合体としてのメディア。
「2ちゃんねる」などをはじめとする書き込みサイトは
いまや世論形成のメディアとして無視できないほどの力を持ちはじめています。

中国政府は、国民(特に若者や政府への不満分子)を扇動するメディアとして
ネットの書き込みサイトを厳しく監視・統制しています。
中国の現況をみるに、それらを放置しておけば、雪崩的に国民感情が形成され、
どこかで暴動が起きるくらいのことは容易に想像できます。

次のページ音もなく、一方的に、あっちへこっちへ、

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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