「エンタの神様」ＶＳ「爆笑レッドカーペット」比較論っ。

・・・で、「爆笑レッドカーペット」である。
どこが「エンタの神様」と違うのか。

各芸人には、おおかれ少なかれ放送作家がついている。スポンサーの居るバラエティ番組なのだから、ネタのチェックもちゃんとやっていることを前提にしても・・・「エンタの神様」に比べ、画面から伝わる芸人自らが発している芸の勢いや弾み方が、明らかに違う。

(ア) ネタは一発撮りである。撮り直しを前提にしていない(予測)。
(イ) 司会や、ゲスト審査員のナマの評価・審査が番組を盛り上げる。
(ウ) もう一度みたい芸人をピックアップさせ、再度ネタを披露させる。
(エ) レッドカーペット賞が各週決定される＝評価と目標がある。
(オ) テロップによる過剰な演出がない。
(カ) 見たい芸人を視聴者から応募させる仕組みがある。
見た目の番組づくりの上での違いは上記のようなものであるが・・・
一番の大きな相違点は、
登場する芸人達が、誰に向いて芸をしているかである。

「エンタの神様」での芸は、プロデューサーを始めとしたスタッフ及び、テレビという構造に向かって披露されている。エンタの神様の収録の舞台には、芸人本人達に、その「現在性＝ナマ」が委ねられていない。「笑い」の名のもとに、芸人達の尊厳までもが、テレビというメディアの中で消費されている。

一方、「爆笑レッドカーペット」は、芸人達に寛容である。その寛容さ中で、その芸は、少なくともお茶の間に向けて発せられている。芸人達へ、その舞台での「現在性＝ナマ」を委ねているので、それをパワーに換えられるのだ。

北野武、明石家さんま、タモリ、島田紳助・・・。
ダウンタウン、ナイナイ、ウンナン・・・。
爆笑問題、雨上がり決死隊、サマーズ、クリームシチュー・・・。
テレビで息長く活躍する芸人達は、両番組で披露するような一発ギャグを持ち合わせてはいない。
この芸人達の能力は、ライブの舞台や、テレビの現場で、委ねられた「現在性＝ナマ」を、フルに遊べる力である。
そこには、神々しい尊厳があり、テレビでは消費尽くせないものがある。

毎週水曜日とレギュラー化された「爆笑レッドカーペット」。
今は、まだいいが・・・いずれ、出演するメンバーと、そのネタに限界が見えだしたら、いまの構成のままでは立ちゆかなくなる。
ネタが消費される。
視聴率が下降線を辿ったら・・・芸人達に、現場をまかせられなくなる。
「エンタの神様」化する可能性は高い。

漫才ブームが、北野武や島田紳助を生んだ。
二丁目劇場の出現が、ダウンタウンやナイナイを育んだ。
ボキャブラ天国が、爆笑問題やクリームシチューを排出した。
それら有望な芸人は、「現在性＝ナマ」を共有できるセンスある芸人達と集団になり、テレビの中で、新たな「笑い」を追求してきたという歴史がある。