クレジットカードと決済代行は金融庁監督下に置くべき

2026.09.23

経営・マネジメント

クレジットカードと決済代行は金融庁監督下に置くべき

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

全東信の経営破綻が浮き彫りにした監督体制の不備を指摘し、「実態は金融機関」であるクレジットカード会社および決済代行会社を金融庁の包括的な監督下に置くべき必然性を論じる。

なぜ粉飾を見抜けなかったのか。その理由は明確である。同社は非上場企業であり、しかも株主は経営者と実質的に同一であったため、企業統治(ガバナンス)機能は実質的にゼロに等しかった。

また、同社に融資を行っていた金融機関側にも強い監査権限はなく、巧妙に作られた決算数値の粉飾を見抜けずに長年騙され続けてしまった(一部の金融機関は不穏な兆候を察知して独自に融資を引き揚げていたフシもうかがえるが、全体としての抑止には至らなかった)。

最大の構造的欠陥は、全東信のような「決済代行会社」については、その経営状況を継続的に監視し、粉飾決算や財務の非健全性を見抜く立場にあった公的機関が存在しなかったことである。

(サービスの種類やスキームによって個別の官庁に形式的な報告義務が生じるケースはあるものの)強い法的権限を持って事業者の財務や経営実態を厳しく指導・監督する明確な省庁が存在しない、法と規制の「隙間」に放置されているのである(図参照)。

3. クレジットカード業界を巡る縦割り行政の限界

では、決済代行会社の上流に位置し、加盟店管理や信用供与に関わるクレジットカード会社はどのような監督構造にあるのだろうか。意外にも、日本のクレジットカード会社を監督するのは金融庁ではなく経済産業省である(割賦販売法に基づく)。

しかし、経産省による「監督」のあり方は、金融機関に対する金融庁のような細部にわたる厳格な査察とは大きく異なる。立入検査などは限定的であり、事業者の登録や定期的な報告書の受理をもって実質的な監督済みにすることが多いとされる。

ここで問うべきは、「では経産省が、クレジットカード会社に対する監督機能を強化すると共に、決済代行会社にも監督権限を広げて指導すれば、問題は解決するのか」という点である。答えは否である。

そもそも、今日のクレジットカード会社もその下支えをする決済代行会社も(「ノンバンク」と呼ばれているが)、その実態は「金融機関」そのものである。

マネーの流れを中継し、信用を創造・流通させる中核機能を担っているにもかかわらず、(割賦販売の推進という)過去の歴史的な経緯を引きずって「販売・流通の道具」という枠組みのまま経産省の管轄下に置かれ続けること自体に無理がある。

経産省の基本的スタンスは一貫して「産業推進」であり、金融機関に求められるような厳格なリスク管理や粉飾を見抜く高度な財務査察のノウハウは持ち合わせていない。「決済」という高度に金融的な仕組みのリスク管理を徹底させることには、そもそも制度的な限界があると言わざるを得ない。

開催終了

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開催日: 2026年07月15日(水)
提供会社: パスファインダーズ株式会社
対象: 企業経営者、事業企画責任者、マーケティング責任者
場所: オンライン配信(ネクプロ プラットフォーム)
参加費用: 無料

日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け39年にわたりプライム上場企業を中心に約300プロジェクトを主導。                     ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/                 ✅第二創業期の中小企業経営者向けの「個別指導型」経営塾『羅針盤倶楽部』を主宰。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/

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